小上がりに集う二人を訪ねていく。
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
サークルの同期の二人が、なぜか
唐突にルームシェアを始めたので
なんとなく訪ねて行った。
どんな部屋に住んでるの?と聞いて
要領を得ない答えが帰ってくる。
間取り図を見せてもらえば、君たち
なかなかいい部屋に住んでるのね。
男二人で住んでる、なんて言うから
一体どんな部屋かと思ってみれば。
羨ましくなるような渋い床に、
ちょこんとある小上がり。
置かれたコタツには、部室で見た
斉藤の筆箱と、堺のものだろう、
読みかけの本が積んである。
「意外ときれいに住んでるんだ」
「堺がわりときれい好きっぽい」
斉藤が笑う。棚も整理するのだと。
その堺はと言えば、なにやら塊肉を
切っている途中だった。
くすんだブルーのキッチンで、
慣れた様子で盛り付けをする後姿。
「何作ったの?」「焼豚」
「なんで二人で住もうと思ったの」
しかもこんなに趣味のいい部屋に。
焼豚をつまみながら訊いてみる。
「なんとなくかな」と斉藤が笑う。
斉藤の部屋も、部室の散らかりは
どこに行ったのやら、渋い押入れに
全部荷物が収まっていた。
堺はそういえば、元高校球児だった。
厳しい寮生活で身についたのは、
野球ではなくて家事の方だった、と
いつか笑っていたような気がする。
私のとは違って、最低限のものしか
置かれていない洗面台。
「あんまり湯船使わないんだよね」
と斉藤も堺も笑う。
「一応交代制だけど」「15分で」
洗濯をするタイミングはどちらかに
合わせると言う。
たぶん堺がそういう風にしたんだ。
「またキリンとかとおいでよ」
「キリンなー。今いい奥さんだよ」
「子供連れてきてもいいよって」
あの頃変なあだ名を付けたもんだ。
キリンと呼ばれた同期の女の子も、
今度はここに連れてこよう。
じゃあね、と別れたあと、ふと
振り返ってみる。なんだか、
こざっぱりした同居だった。
そういう暮らしぶりもあるんだ。
唐突にルームシェアを始めたので
なんとなく訪ねて行った。
どんな部屋に住んでるの?と聞いて
要領を得ない答えが帰ってくる。
間取り図を見せてもらえば、君たち
なかなかいい部屋に住んでるのね。
男二人で住んでる、なんて言うから
一体どんな部屋かと思ってみれば。
羨ましくなるような渋い床に、
ちょこんとある小上がり。
置かれたコタツには、部室で見た
斉藤の筆箱と、堺のものだろう、
読みかけの本が積んである。
「意外ときれいに住んでるんだ」
「堺がわりときれい好きっぽい」
斉藤が笑う。棚も整理するのだと。
その堺はと言えば、なにやら塊肉を
切っている途中だった。
くすんだブルーのキッチンで、
慣れた様子で盛り付けをする後姿。
「何作ったの?」「焼豚」
「なんで二人で住もうと思ったの」
しかもこんなに趣味のいい部屋に。
焼豚をつまみながら訊いてみる。
「なんとなくかな」と斉藤が笑う。
斉藤の部屋も、部室の散らかりは
どこに行ったのやら、渋い押入れに
全部荷物が収まっていた。
堺はそういえば、元高校球児だった。
厳しい寮生活で身についたのは、
野球ではなくて家事の方だった、と
いつか笑っていたような気がする。
私のとは違って、最低限のものしか
置かれていない洗面台。
「あんまり湯船使わないんだよね」
と斉藤も堺も笑う。
「一応交代制だけど」「15分で」
洗濯をするタイミングはどちらかに
合わせると言う。
たぶん堺がそういう風にしたんだ。
「またキリンとかとおいでよ」
「キリンなー。今いい奥さんだよ」
「子供連れてきてもいいよって」
あの頃変なあだ名を付けたもんだ。
キリンと呼ばれた同期の女の子も、
今度はここに連れてこよう。
じゃあね、と別れたあと、ふと
振り返ってみる。なんだか、
こざっぱりした同居だった。
そういう暮らしぶりもあるんだ。