もっといろいろあるだろう、
と自分でも思ってしまうのだが、
いつも、こういう物件がいいのだ。

ああ、何かの狭間に落ちた感じ。
なんなんだ、あの大きなカーテンは。
そして、壁を這う一本だけの筋交い。

あああ、なんてそそるんだろう！
高い位置の大窓に、斜めに走って。
見上げた空の孤独感が、私にはご褒美。

きたきた、半地下に降りていく階段。
半地下からの天井高いお部屋、好こ。
そしてそして、はしごで上がるロフト。

ひゃあ、なんていい寂しさなんだ。
回廊みたいな細長さが素晴らしいし、
ロフトなのに下が空いてるって最高。

ああ、いい。目的のない場所。
いい椅子を一つ置いておきたい。

そして意味もなく、下を見下ろす。
当然、私は上だから、だれもいない。
あるのは、2口ガスのキッチンだけだ。

写真から思い描いた通りの間取り。
なるほど、洗濯機は隠せるんだな。
クローゼットもちゃんとあるんだよ。

タンクレスのトイレは静謐な美しさ。
この部屋の思想にぴったり合うのだ。

お風呂にも僅かに光のこぼれる。
まるでどこかの教会みたいじゃないか。

タテに長さのあるひみつきち。
あのカーテンをおごそかに開け閉めしたい。
ロフトから猫のように顔を覗かせたい。