毎日でも温泉に入りたいな。そんな
ささやかな夢が叶ってしまいそう。

湯町にある、温泉付きマンション。
入居者に温泉入浴券が渡されるの、
嬉しいな。

「銭湯の上」に住むのも憧れたけど
入居者専用の温泉付きとは。

どうせなら、お風呂が好きな人と
一緒に住んでみたい。

温泉に行く用に、冬でも二足、
突っ掛けを出しっぱなしにして。

サービスヤードなる場所が付いた、
入ってすぐの洋室と、

それよりちょっと小さい洋室、
どちらを寝室にしようか。

それとも、やっぱりお風呂上がりは
畳の上でくつろぎたいから、和室を
寝室にしちゃおうかな。

収納力も抜群だし。

温泉に入ってきてホカホカの体を、
畳の上で冷ましながら、
リビングでテレビを見ている君を
ぼんやり眺めている。

お休みの日の昼間から温泉に行く、
それだけで贅沢だよ。なんて話す。

「ちょっと入ってくれば？」
「そうしようかな」
「お昼作っとくよ」

そんな会話をしたあと、君はうちの
お風呂で髪と体を洗ってから、
玄関の突っ掛けで温泉に向かう。

「神田川」の歌詞みたいに、先に
出てきた私の髪が芯まで冷える、
なんてことはない。だって、家に
帰っちゃえばいいからね。