キッチンのテーブルでも、自分の
作業場でもない場所が、なんだか、
暮らしやすい。

腰掛けの下は全部収納だから、箱を
詰めて互いに荷物を分けている。
薄い灰色が私、そこに青が混ざれば
向こうの荷物というわけだ。

ベンチ兼収納が部屋をぐるり囲む、
面白い部屋だねと盛り上がって、
そのまま住むことになっていた。

二人とも料理が好きだから、
居心地のいいキッチンで嬉しい。

食卓もかわいいし。

こちらが火加減を見ている間、

背中合わせで洗い物をしてくれる。
テンションが上がって、YAECAで
おそろいのエプロンとか買った。
(最近ほぼ使ってないけど)

そんなエプロン、脂汚れを雑に
拭っても大丈夫。洗濯機はここ。

炊き込みご飯を食べながら、一日の
できごとを話す。

風呂をためる間に歯を磨く。
棚には互いのスキンケア用品が、
混ざらずに並んでる。

タイルがキュートな小窓付き。
言うことなし、ついつい長風呂。

同居人がもう眠いと言いながら、
寝室にもぞもぞ潜っていった。

「カーテン閉める？」「まだいい」

緑色の壁際に生えたカウンター、
ハンドクリームやらなんやらが、
トレイの上に置いてある。

玄関側の窓もブラインドを降ろし、
クローゼットをちらっと見る。
明日はなにを着ようか、決めてから
眠るみたいだ。

窓辺に腰掛けて、眠気を待つ。
「まだ寝ないの？」「もう少し」

夜中のバルコニーはしんと静かだ。

どこの部屋にも今の時間は、きっと
寝息が響いているに違いない。
私もそろそろ眠らなくちゃ。

ベッドに向かいながら、玄関先に
揃えられた靴が目に入る。
二足、ちょこんと並んでいる。

気心の知れた二人暮らし、巨大な
マンションの中に何組いるだろう。

窓辺に腰掛けてだらだら過ごすのは
意外と幸せな生活の形なのかも。