いいなあ。これって小宇宙だな。
ここで始まり、ここで終わる一日。
一人でずっと夢を見ているような。

一階の土間から上がっていくと、
だれにも邪魔されない空想の世界。
ただただ、浸っていればいいのです。

この、居室は上にある感じって、
引きこもり感を加速するような。

いいなあ。寝室が分かれていて。
三角になった入り口、くすんだ青の壁。
ソファも浸れそうな置き方している。

この形で一人の夢を育みましょう。
バルコニーないからこそ内圧を高める。

ぼうっとしているだけの、土日の午後。
テレビで繰り返し映画を流しておいて、
ときどき、理由もなく一階に降りたり。

かと思えば、シングルベッドに倒れこむ。
こっちの小部屋が育む妄想もあるのです。
恋愛とか人間関係とか、取り留めもなく。

あのパイプ、かわいい上に哲学的だ。
この眺めだけで、私なら一日終わりそう。
なに吊るそうかな。バスタオル一枚とか？

隘路のようなキッチンも情緒たっぷり。
深緑のタイルは言うまでもないのだが、
奥行きのある棚スペースに惑わされて。

ここ、コーヒーを淹れるくらいの、
それだけの道具を飾っておけばいい。
あとはゆで卵くらい作れる小宇宙でいい。

洗面所と、トイレと、洗濯機が同室。
繰り返し自分自身と対話しましょう。

ちゃんと浴槽あるのです。新築なのです。
こごへる夜も熱々のお湯で空想を育んで。

それから、フロアライトの明かりだけで、
電話も見ないで分厚い小説に読みふける。
ここで始まり、ここで終わる一日である。