友達と楽しく住めたらいいのにな、
と学生の頃から思っていた。
まさか、実現するとはあの頃の私も
全く思っていなかったと思う。

ちょうど家の前まで来た辺りで、
バンちゃんからLINEが届く。
「誰かズッキーニ！おねがい！」
戻って買いに行っても良いかな。
そう思っていると、高遠からOKと
スタンプが送られてくる。

「今日はバターチキンカレーだよ」
わーい、と笑っていると高遠が
帰ってきた音がする。この三人で、
学生時代からずっとつるんでいる。

「ほら、ズッキーニ」「ありがと」
何に使うのか聞けば、ナスと一緒に
揚げ焼きにするんだそうだ。
(漫画で読んだらしい)

お盆を持って自分の分を机に置くと
なつかしい、給食の雰囲気がある。
文化祭前もこうして学食でカレーを
食べたけど、今はみんな社会人。

壁一面の収納の中には、それぞれが
部屋に置ききれなかった荷物やら、
三人で使うものやらが詰められた。
なんだか、ロッカーみたい。

「あとでアイス食べよ」の一言で、
各々が自室に戻っていく。
二階の二つの部屋は、それぞれ、
バンちゃんと高遠が使っている。

お互いの部屋の中は用事がなければ
入らないし、覗かない。

だから私が二階に立ち寄るのは、
階段下収納に用事がある時ぐらい。

それで、三階には私の部屋。
スカイテラスへの階段があるから、
定期的に二人が部屋へ入ってくる。

風呂の時間は一人30分程度。
「ヨッシー、入って平気？」
「いいよ」「うっす」
そういう会話を経て、パジャマに
着替えた三人で階段を登る。

この部屋に決めてきたのは高遠で、
理由は「スカイテラスがあるから」
というものだった。
階段の踊り場で話し込んだあの頃と
何が変わっているのだろう。いや、
いろいろ変わったけど、あの頃も
アイスクリームを食べてたよ。

各々が選ぶアイスを指摘するだけで
楽しくてうるさい。かしまし娘、
字面は可愛いけど騒ぎすぎないよう
注意はしているんだ。