酔いとまどろみと一緒に楽しい夜を
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
落ち着いたスポット照明が
まるで床自体が主役であるかの様に。
シックなヘリンボーンの床を照らす。
窓際の土間には観葉植物が並び、
壁一面の飾り棚には
海外で買い揃えられたであろう
日常で出会わない様なデザインの
帽子や小物が等間隔に置かれ、
まるで触られる事を拒否している様でもある。
それを家主はこともなげに持ち上げ、
私の視線への返事とばかりに
少しの解説を加えては
また隣の何かを持ち上げてはを繰り返し、
少し気恥ずかしそうに、
でも、嬉しそうに話をしてくれる。
本当にデザインが好きなんだな?
先程来、カウンターの向こうで
料理を作り振舞ってくれている時と同じ様に
静かな口調で話してくれているあいだ、
ずっとそう思って聞いていた。
器も、料理の盛り付けも綺麗だったなと
思い返していると
続いていた説明がふと途切れ
思わず
「本当にお好きなんですね。」
と質問とも感嘆ともとれる言葉が
口をついて出た。
一瞬の間があった後、
私の目を見て微笑んで
くっきりとした発声で
「はい!」と。
そう言って
20畳はあろうかという
LDKとの仕切り戸をあけ放ち洋室の奥へ。
自分でデザインしたのだという
たくさんの衣服がかけられている
オープンクローゼットの奥から
古そうなファイルを持ち出してきた。
「最初、これに憧れて始めたんです!」
と待ちきれない様に
ファイルのページをめくりながらそう言うと
見つけたページを誇らしげに掲げ
「この二人にずっと憧れていて…」と。
綺麗に着飾った男女が
二人で踊っている様なイラストが
スクラップされていた。
「ちょっと今日の私たちと似てませんか?」
なるほど、少し気を使って
家主のお店で買ってきた服のおかげで
確かに“服は”似ていなくはない。
気恥ずかしい笑みを浮かべた私は
「では、せっかくなので踊りますか?」と。
普段だったら奥手な私が
この日ばかりはどうしたことか
そう誘うが早いか
踊り方なんて知りませんと言う返事にかぶせる様に
私もです!と言って手をとり
ガランとしたLDで二人あたふたと踊りの様な
真似事を少しして顔を見合わせて笑った。
その後、お酒に酔った私は、
トイレに少しこもり家主に迷惑をかけたが、
無事、酔いも落ち着き、
詫びと、今夜の礼を述べ、
「今日はもう帰りますね。」と伝える。
家主は大丈夫か再三聞いてくれた後、
タクシーを呼んでくれた。
そこから二人で玄関まで
本当にゆっくりと廊下を歩きながら
たくさんの事を話した。
話したい事は後から後から湧いて出たが、
明るいエントランスまで降りると
気恥ずかしさも大きくなり
すでにタクシーが待ち構えていた事もあり
「じゃぁまたすぐに!」と振り返り手を振った。
「はい!またすぐに。」
その声を聞き終え、タクシーに乗り込み
また少し手を振った。
タクシーの中で目を瞑って
別れの挨拶を反芻して、思わずにやけた。
もう抱かないと思ってた
こんな感情に満たされるとは
うかつな位に本当に楽しい夜だった。
すんでのところで踏み込まなかったのは
明日の予定が理由だけれど、
物足りないくらいがちょうどいい。
そう思える夜だった。
「またすぐに。」か。
酔いとまどろみと一緒に
あと少しだけ楽しい夜を。
まるで床自体が主役であるかの様に。
シックなヘリンボーンの床を照らす。
窓際の土間には観葉植物が並び、
壁一面の飾り棚には
海外で買い揃えられたであろう
日常で出会わない様なデザインの
帽子や小物が等間隔に置かれ、
まるで触られる事を拒否している様でもある。
それを家主はこともなげに持ち上げ、
私の視線への返事とばかりに
少しの解説を加えては
また隣の何かを持ち上げてはを繰り返し、
少し気恥ずかしそうに、
でも、嬉しそうに話をしてくれる。
本当にデザインが好きなんだな?
先程来、カウンターの向こうで
料理を作り振舞ってくれている時と同じ様に
静かな口調で話してくれているあいだ、
ずっとそう思って聞いていた。
器も、料理の盛り付けも綺麗だったなと
思い返していると
続いていた説明がふと途切れ
思わず
「本当にお好きなんですね。」
と質問とも感嘆ともとれる言葉が
口をついて出た。
一瞬の間があった後、
私の目を見て微笑んで
くっきりとした発声で
「はい!」と。
そう言って
20畳はあろうかという
LDKとの仕切り戸をあけ放ち洋室の奥へ。
自分でデザインしたのだという
たくさんの衣服がかけられている
オープンクローゼットの奥から
古そうなファイルを持ち出してきた。
「最初、これに憧れて始めたんです!」
と待ちきれない様に
ファイルのページをめくりながらそう言うと
見つけたページを誇らしげに掲げ
「この二人にずっと憧れていて…」と。
綺麗に着飾った男女が
二人で踊っている様なイラストが
スクラップされていた。
「ちょっと今日の私たちと似てませんか?」
なるほど、少し気を使って
家主のお店で買ってきた服のおかげで
確かに“服は”似ていなくはない。
気恥ずかしい笑みを浮かべた私は
「では、せっかくなので踊りますか?」と。
普段だったら奥手な私が
この日ばかりはどうしたことか
そう誘うが早いか
踊り方なんて知りませんと言う返事にかぶせる様に
私もです!と言って手をとり
ガランとしたLDで二人あたふたと踊りの様な
真似事を少しして顔を見合わせて笑った。
その後、お酒に酔った私は、
トイレに少しこもり家主に迷惑をかけたが、
無事、酔いも落ち着き、
詫びと、今夜の礼を述べ、
「今日はもう帰りますね。」と伝える。
家主は大丈夫か再三聞いてくれた後、
タクシーを呼んでくれた。
そこから二人で玄関まで
本当にゆっくりと廊下を歩きながら
たくさんの事を話した。
話したい事は後から後から湧いて出たが、
明るいエントランスまで降りると
気恥ずかしさも大きくなり
すでにタクシーが待ち構えていた事もあり
「じゃぁまたすぐに!」と振り返り手を振った。
「はい!またすぐに。」
その声を聞き終え、タクシーに乗り込み
また少し手を振った。
タクシーの中で目を瞑って
別れの挨拶を反芻して、思わずにやけた。
もう抱かないと思ってた
こんな感情に満たされるとは
うかつな位に本当に楽しい夜だった。
すんでのところで踏み込まなかったのは
明日の予定が理由だけれど、
物足りないくらいがちょうどいい。
そう思える夜だった。
「またすぐに。」か。
酔いとまどろみと一緒に
あと少しだけ楽しい夜を。
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