ひたれますね、ここは。
木の床の質感がこれだ、と感じる。
レトロというよりノスタルジー。

東向きのバルコニーからたっぷりと
明かりが採れますが、なぜかくれなずむ、
夕方っぽさもあり。野球中継が聞きたい。

それでいて和室がある訳でもないけれど、
卓袱台とラジオがよく似合いそうな風味。
ここはスノコとマットレスでもいいかな。

それで、よく使い込まれて光沢のある、
寄せ木細工の床の一室ではなにしよう？
あの、壁板がなんともいえず懐かしい。

譲り受けた机やミシン台なんかあって、
工作室になってたりしたら、かわいい。
色とりどりの紙片や布切れが散らばる。

もしくは、私的な図書室でしょうか？
こんな床の図柄といえば、学校だから。
わたしによる、わたしのための図書室。

ひとり暮らしにはなかなか広かったり。
この昔ながらの間取りに惹き込まれる。

洗濯機は外で、靴箱もないけれど、
斜めになった玄関のアプローチ、好き。
フローリングに迎えられる。すぐひたれる。

お風呂の、水色。バランス釜ですよ。

ああ、これは20世紀のデザイン。
ぷっくりとした肉厚の意匠。みずいろ。
まずお目にかかれない、一点物のたしなみ。

懐かしくて、ほっとしていたけれど、
いつ間にか、ぞくぞくしてきました。

古い部屋だけがもつ、光、奥行き、次元。
ここでの生活だけに流れる時間への憧れ。
あゝ東京ノスタルジー。ひたってみたい。