つみきの秘密基地
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
つみきで「えい、えいっ」って積み上げたような階段の上はロフト。 間取り自体、「えいっ」っと詰め込んで作ったみたいでしょう。 顔を出すと、床に暗号が浮かんでる。あの矢印の先の謎を、今日こそ究明しよう。 まずは出立の前に腹ごしらえ。 近所のおにぎり屋「もがみ」で入手した、大胆にもエビが丸ごと入ってる「天ぷら握り」を頬張る。全品100円なのもいい。 身だしなみも探検のモチベーションに関わる。シャワーも浴びとこう。
ピンク色のタイルが実家と同じで懐かしい、と思ったけれどここはまだ築7年。若いのにレトロ好みなところが僕と似ている。 お風呂とトイレはスケスケ扉で区切られている。最近流行りの透け透けをここにぶっ込んできたチョイスを、僕は評価している。 折りたたみ式カウンターで最後の身だしなみチェック。 収納棚から相棒の靴とショルダーバッグを取り出す。 6階からは青空と、下町の雑居ビルと、日暮里の台緑地が見渡せる。今日は快晴。探検日和。さあ、出立だ。
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e