この間友人と東京の下町を歩きながら話してたんです。
「古い建物がどんどん壊されていってなんだか寂しいね」
私がそう言うと彼は、
「そうだね、でも良いものはちゃんと残るから心配しなくていい」
といって言ってて、（そんなもんかなあ）と思っていたのですが、この部屋を見て納得しました。

1964年に建てらてた鉄筋コンクリートのマンション。鉄筋コンでも築50年を超えているとかなりいってるな、という印象です。

内装も障子だったり、カーペット敷きだったりするんだけど、「良いものだな」と感じさせるのはディディールまで作り込まれているからかな？

家族で暮らすとなると2DKの間取りが一般的な時代ですから、当時この間取りはなかなか革新的だったはず。

この複雑なパターンの床材を見る限り、昔2DKだった形跡はありませんよね。

さらに右に見える少し変わった障子。
障子は普通外部とつながる窓の内側にあるものだ思うのですが、ここでは隣の部屋との仕切りに使われているんです。

開けるとどんな空間になるんだろう。ちょっと体験したことないかも。

玄関入ってすぐのコの字のキッチン。
渋い、渋すぎる。
そして綺麗すぎる。
50年前から使われてきたものかわかりませんが、大事に使われてきたのでしょうね。

さらにお風呂は大理石。
水回りはさすがに少し古さを感じますがこの雰囲気は相応の時間を経ないと出ないものでしょう。

竣工当時は今でいう「ハイグレードマンション」だったのかも。今建てられている「ハイグレードマンション」は50年後にこうやって誰かに愛でられるものになっているのでしょうか？

やっぱり「高いもの」と「良いもの」は必ずしも一致しないような気がします。

そして長持ちするかは、壊れにくい「強い素材」を使っているからではなく、「良いと思わせるものを作った人」と、それを「良いと感じる人たち」の意思によると思います。