それぞれがそれぞれの暮らしを、
このドアの向こうで営んでいる。
でも、ご飯は一緒に食べましょう。
そんなこざっぱりした二人暮らし。

鏡合わせの洋室が2つ。
同じ釜の飯を食べるけど、
お互い自立して暮らすんだ。

玄関に靴箱はないから、
折半して買ってもいいし、お互いが
好きな収納を置いてもいい。

入ってすぐにあるリビング。
洗面台はシンクの真横だから、
一人が洗い物をしている横で
一人は歯磨きをしているかも。

たまに二人でご飯を作る日が、
あってもいいと思う。
料理を作る人と食器を洗う人は別、
みたいなルールがあるんだろうな。

じゃ、お互いの国に帰りましょう。

とか言って、中央のドアを開ければ
向こうと繋がっちゃうんだけど。
国境線は越えるためにある。

休みの日とかは開けておくのかも。

いつもはこう。
相手を呼ぶ時は、この引戸を
こつこつノックする。
国際電話の気分。

部屋も間取りも双子なのに、
住む人によってこんなに違うんだ、
と驚く収納が育つでしょう。

おやすみなさい。
そう言ってドアをぱたんと閉める。

集合住宅の無数の部屋は
一つ一つの国家みたい。
…というのは言い過ぎかな。

でも、この無数の国のなか、
二人で独立国を作ってみたい。