吾輩の庭は校庭である。
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
吾輩の庭は、毎日同じ景色を見せてくれない。何故なら人間が遊び、集い、学び、動いているからである。どうやらこれは「校庭」と云うものらしい。
なんちゃって。 目の前が小学校のこのお部屋。 猫の額ほどの庭もついています。
そして木が一本。なんだか詩的。 このまま朴訥とした庭として楽しんでもいいし、自家菜園始めてもいいかも。盆栽も似合いそうだなあ。 この町、日暮里は、夏目漱石の「吾輩は猫である」に登場します。
「芋坂へ行って団子を食いましょうか。先生あすこの団子を食った事がありますか。奥さん一返行って食って御覧。柔らかくて安いです」
「あすこの団子」とは、日暮里駅近くにある「羽二重団子」さん。 お隣さんとの距離感もゆるい。
吾輩は猫であるで言うところの
「この垣根の穴は今日に至るまで吾輩が隣家の三毛を訪問する時の通路になっている」かな。 クローゼットは可動式。 気分次第でコロコロ変えられる。 猫は気まぐれだからね。
この空色の壁紙が、ゆっくりとした気持ちにさせてくれる。 2点ユニット。猫で言うなら
「もし吾輩のごとく風呂と云うものを見た事がないなら、早く見るがいい。親の死目に逢わなくてもいいから、これだけは是非見物するがいい。世界広しといえどもこんな奇観はまたとあるまい」 トイレはウォシュレット付きの新しいものにしてくれています。
築30年くらい経ってる物件を、少しずつ今様にしてくれている。 キッチンも新しめ。IHですよ。 すっきり掃除しやすい。 ありがたいありがたい。
「隙を見て台所へ這い上った。すると間もなくまた投げ出された。吾輩は投げ出されては這い上り、這い上っては投げ出され、何でも同じ事を四五遍繰り返したのを記憶している」 洗濯機置場がね、外なんです。 だけど洗濯物干しやすいし、日当たり良いしと思える人に。 リノベしたてかと思いきや、 外はタイル張りの壁に白砂利。 たまらないレトロな佇まい。
日暮里って、下町さんぽには打ってつけだと思います。「根津、上野、池の端、神田辺を散歩」するにも出やすいし、JRが通ってるから都心部にも行きやすい。
「どうも好い天気ですな、御閑(おひま)ならごいっしょに散歩でもしましょうか」
文・戸田江美
1991年生まれ。デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e