囲炉裏を中心に集い、
お酒を飲み、語らい、眠る。

そういう事を可能にするのが、
大人になった僕たちの遊び。


ふとお酒が飲みたくなった時、
ふと誰かと話したくなった時、
連絡を取り合う訳でなく、
ふとこの家を尋ねる。

すると誰かが居る。
うまいつまみを出せば酒がでる、
お酒が出れば自然と会話が始まる。
特別笑い合い支え合うわけでなく、
気兼ねなく話せる事が何より。

そして夜も更けて
誰かは帰り、
誰かは眠り。

誰かは囲炉裏の火を眺め続ける。

朝がくれば少し体を動かし、

囲炉裏でまたコーヒーを入れ、
気が向けば家に帰る。

気が向けば趣味に興じる。


そしてまた宵の頃に
誰かが旨い肴を持って
このアーチをくぐれば

今夜もまた静かな夜会の幕開けだ。

そういう舞台を
僕らは基地として楽しめる位に
もう大人になったはず。

うん、ここは
別荘というよりは皆の別邸。
でもやはり別邸というよりは
やはり僕らの基地というのが
一番しっくりと来る。

上等であることよりも、
大きく広くあることよりも、
僕ららしく身の丈に合って、
思い出の地に近く、
今の環境や年収、性別も超え
皆が自由で居られるここが、
僕らにとって一番好ましく、
だからやはり僕らの基地。

こっそり自慢の基地だから
秘密じゃない基地。