なんでこんなにしゃべってしまうのか。

もはや、何がおもしろいのかも
わからないことで、
さっきから何人もの大人が笑い転げている。

ここに住んでいる彼らは、
このお家の全てを受け入れている。
このお家は、
ここに住んでいる彼らの全てを
受け入れている。

彼らは寒ければ、厚着をする。
お湯を飲んだり、部屋じゃなくて
自身を温める。

彼らが目をキラキラさせて
借りたこの物件は、
1967年竣工の長屋スタイル。

人なつこい性格の人間が、
こんな手作り感溢れる質感のお部屋に
住んでいたら、
そりゃ、みんな集まりたくもなる。

おーい、来たぞー。
おじゃましまーす。
さむっ！
飲み物、買ってきたよ。
ねぇ、割り箸ってある？

玄関から、
どんどん入ってくる言葉たち。

みんなが買ってきて、
置いていったものたちで
もりもりのキッチン。

ただし、トイレットペーパーは注意。
あっという間になくなる。

誰かしら入っていくお風呂。
朝は出勤組の争奪戦になる。
夜のうちに入ればいいことは、
誰もがわかってるんだけど。

洗濯機は玄関の横に。
洗剤を持参してくる、律儀な奴が1人いる。

みんなで食べて飲んで
部屋がこもってきたら、
1人が立ち上がり、この小窓をそっと開ける。
話の腰を折らないように、そっとだ。

眠る人が出てくれば、座布団やら
少ない掛け布団を
引っ張り出す。

でも真剣な話をしていると、
いつの間にか
みんな起きていたりする不思議。

誰かが座る位置を変えたり、
新しい飲み物を持ってきたり、
好きにしながら。

今日も夜通し、語り明かそうよ。