尊敬するクリエイターさんが 言っていました。 「忙しくても一日に一度は、 必ず自然に触れるようにしている。 庭いじりだったり、公園を散歩したり…」 それはアイディアを得るための、 大事なルーティンなんだとか。

楠や檜の大樹が育つ神社に隣接する、 こちらの平屋なら、忙しい毎日でも そのルーティンを真似できそうです。 間取り図では2階があるように見えますが、 左に描かれているのは、屋根裏と 先ほどお見せした緑が迫るベランダ。

今ではめっきり少なくなった、 屋根の上に作られた物干し台です。

緑に囲まれた階段を、慎重にあがると…

お目見えするのは開放的で 特別感のあるスペース。 樹々がとっても近くて、子どもの頃に 憧れたツリーハウスみたい。 自分たちしか知らない 「とっておきの秘密基地」 といったおもむきがあります。

森から生まれた新鮮な空気を、 朝一番、胸いっぱいに吸い込めば さぞかし気持ちがいいだろうな。 クリエイター業じゃなくとも 一日一回、ここに上がるのを習慣に すれば、爽快な毎日が送れそうです。

あんまりにも素敵だったものですから、 お部屋の中よりも先に ベランダをご紹介してしまいました。 室内は様々なライフスタイルに 応えてくれそうな、ポテンシャルが 魅力的。

玄関のすぐ横にある台所には、 大きな流し台が残されています。 タイル貼りの作業台と流しは レトロ好きにはたまらない。

シンクが2つあるのは珍しいですね。 上部の棚も、チェッカーガラスで 味があります。

排水溝を覆うお花のような 白い四角のタイルと 翡翠色の細かいタイルが どうにもかわいらしくていじらしい。

水回りは新しい方が断然 使いよいのですが、 このレトロでかわいらしいテイストは リノベーション後もどこかに 残せないものかなあ。

優しい光を取り込んでくれる 小窓の向こうには 神社の緑がうっすら浮かび、 まるで森の中に暮らしているかのような 気分になれるとのことです。いいなあ。 お料理や食器洗いの最中に ふと緑が目に入ると、心がやすらいで いいものです。

台所の向かい側、ガラス戸の向こうには 畳のお部屋。

合わせて8帖半の和室には 南向きの掃き出し窓が大きく とられています。 路地奥の立地ながら、明るい印象。

写真の右側、茶色い扉はお手洗い。 左側のガラス戸は台所へ通じています。 白い壁には明かり採りの小さな室内窓。 小窓は跳ね上げ式の窓に付け替えたら うんとおしゃれになりそうで、 わくわくします。

台所のお隣はひとつながりになった 13.5帖の広い空間。

吊床に肘掛障子、高窓が 以前は品の良い和室だったことを 偲ばせる。

お客様をおもてなしたり、 家族の団らんを育んでくれたり していたのでしょうか。

現しなった天井は、かなりの高さが ありそうです。 リノベーションを施せば開放感のある 気持ちのいいスペースに 生まれ変わりそうな予感がします。 新しくなっても引き続き、居心地の良い 憩いの場になってくれることでしょう。

はしごで上がる屋根裏は ロフトに変更できないかしらん。

なかなかの広さがあり、ぜひとも 寝室や収納に活用したい空間です。

三角の天井は、格別のおこもり感が ありますね。 突き当りの扉の向こうは ベランダへの階段へ続いています。

あら、意外。和風の内装とは うって変わり、外観は白色の カクカクっとしたモダンな印象。 あの気持ちがいいベランダが、 ちらりと見えますね。 写真に写り込む大樹は、建物の西側に 広がる、上御霊神社のもの。 鎮守の森の樹々たちは心地のいい静寂と 清々しい空気を分け与えてくれています。

地下鉄鞍馬口駅から徒歩4分と 京都の街中で、便利でありながら 緑豊かなこの環境はまれなのでは。 賀茂川も近くに流れ、鴨川デルタも 歩いて20分ほどの距離。 リノベーションやDIYの素材として、 おすすめの物件です。

文・葱山紫蘇子 劇団維新派→色々→介護業を経験。漫画と建物と書き出し小説が好きな4人の子を持つ大阪のシングルマザー。 @sisokoex