第一印象は「わー、なんか素敵！」
ただ、よく見ると写真手前左の階段に
加えて部屋の中ほどにも階段があったり、

天井の一部がルーバーになっていたり、
一体どうなってるの？ と
好奇心がむくむく湧いてきます。

かつてこの戸建を自邸として
改装することになった建築家のオーナーさん、
どんな空間にしようかと考えて
たどりつたいのが「猫のように住まうこと」
というコンセプトだったそうです。

猫のように住まえるお家。
つまり猫になったつもりで設計した
猫目線の空間ということでしょうかね。
うん、わからなくもない。

たとえばリビングの窓際の陽だまりとか
さわやかな風の通る玄関土間とか
クローゼットと棚の間の狭い空間とか、
猫は「家の中でいちばん快適な場所」を
見つける天才ですから。そんなエピソードも含めて
とってもユニークでおもしろいお家なので、
順番にご紹介していきますね。

最初にお伝えしたい魅力は立地。
閑静な住宅街にある傾斜地に建つため、
お家には屋外階段を上下して出入りします。

階段を上って扉をくぐった先には、

天井の一部を抜いた
明るく開放的な玄関が出迎え。
やはり玄関横に加えお部屋の奥にも
階段のようなものが見えますが、
実際に2階へつながっているのは
奥のほうの階段。

街の一部である屋外外階段を
室内に取り込もうという意図から、
以前まで使われていた室内の階段を塞ぎ、
玄関の延長線上に
新たな階段を設けたそうですよ。

1階の間取り図を見れば
わかりやすいですかね。
屋外階段から玄関を経て、
その延長線上に階段がつづく…という
導線を意識した設計。

玄関を入ってすぐのスペースは
リビング的な空間、

その奥にキッチン。
キッチンは吹き抜けになっていて
光がたっぷり降り注ぎます。
ダイニングテーブルも兼ねた
ぴかぴかの天板は
いつもきれいにしておきたい。

さらにその奥には
洗面台やバスルームがあります。
屋内でもっとも奥まったスペースですが、
掃き出し窓があるうえ
天井の一部がルーバーになっていて
とても明るいですね。

さて、階段まで戻って
次は2階へ上がってみましょう。
手すりにあしらわれた
籐の飾りに見とれつつ
顔を上げると…

階段を上がった先には、この斬新な光景。
床を抜いて吹き抜けにしたそうですが、
それにしても思い切って抜きましたねえ！
家や倉庫の一部をスパッと切断する
ゴードン・マッタ＝クラークの作品のようで
興奮しました。
<https://www.tjapan.jp/art/17194161>

2階には吹き抜けと階段を挟むかたちで
寝室スペースとワークスペースがあり、
南側にはテラスも。

日当たりが良く、傾斜地ならではの
眺望が楽しめる場所に
ワークスペースをつくったり、

1階に光を落としたい場所は
床をルーバーにしたりと、
このあたりの空間設計は
まさに猫目線という感じ。

ほら、このワークスペースだって
いかにも猫が寝転んで
大きなあくびをしてそうな。

快適さと斬新さを兼ね備えている
というよりも、
快適さを追求した結果、
斬新になってしまった。
そんな空間の制作過程ごと
好きになってくれる方に
出会ってほしいお家です。