空間の中央に、広々したキッチン。
そしてダイニングテーブルを兼ねた
カウンターと、そこにやわらかな
光を落とすペンダントライト。

京町家を利用した小料理屋orバーかな？
と思った人もいるかもしれませんが、
じつはここ、れっきとした住居なんです。

ほらね？ 玄関の隣にキッチン、
キッチンの奥は洗面、そして浴室へ。
家事動線を意識した設計でしょう？

さて、ここに友人知人を招いて、
3くちコンロでなにをつくろう。
作業台の下の収納棚のほか、

壁側に設置された大きな造作棚から
お目当ての食器や調理器具を選んで。

ゆっくり仕込みをしながら来客を待ちつつ、

今か今かと玄関扉の向こうに
人の影を探してしまいそう。

ゲストが到着して部屋に招き入れたら
今夜の献立を渡して、
「おいしそう」なんて言われたりして。

私が盛り付けに集中する間は
窓の外の植栽が
日の陰りに色を変える様を
楽しんでもらったりしつつ、

完成した料理を片っぱしから
カウンターへサーブしていく。

おおいに食べて飲んで話したら、
食後はリビングスペースへ移動し、
造作棚に載せたテレビで映画鑑賞。

そんな光景が容易に想像できる、
大人がとことん楽しむためのLDK。

もちろんそのほかの空間も抜かりなく、
LDKの隣にある寝室との間仕切りには
障子戸が入り、

4帖足らずのプライベート空間を
仕切ってくれる。

あとね、さっき見たリビングスペースの
庭の窓にいちばん近い端っこ、

テレビ台と庭の間には
ワークデスクがあるんですよ。

キッチンと寝室から最も離れた場所だから
迂闊にベッドにダイブするのを防げるし、
キッチンにいる家人に気を取られすぎない
ちょうどいい距離も取れる。

なにより、仕事しながら
この庭を眺められるなんて！

京都はインバウンドとともに
賑やかさが戻りつつあるものの、
裏庭には喧騒も届きづらいでしょう。

寝室は通りに面していますが、
外側には白木の格子がかけられ、

外と内を程よく切り離してくれる。

しかも内側の出窓部分に
ダウンライトを仕込むという丁寧なつくり。

おかげで外から視線が向けられても、
明暗の兼ね合いで室内は見渡せないはず。

見た目の良さだけにとどまらず、
心配りも反映した和モダンなデザイン。

雰囲気のある居室スペースから一転、
サニタリーは明るく清潔に
リノベされているけれど、
洗面脱衣所に木材を配して
居室と浴室の橋渡し。

明るめの材を使うことで
一体感を演出しているところもニクい。

そしてお風呂には
小さいながらも窓があり、
ここからもお庭が望めると。

はい、もう完璧。

あ、最後にもうひとつだけいいですか？
お気づきの方もいるかもしれませんが、
この物件、収納がめっちゃ多いんですよ。

カウンターの後ろにある
良い感じの建具は収納扉だし、
すでにご紹介した水まわりの収納のほか
4.6帖のロフト収納まである。

セカウンドハウスにいいな〜と思ったけど、
これだけいろいろ充実しているなら
本宅でも全然アリですね。

決して広くはない敷地と
元の躯体を活かし切って、
こんな素敵な物件にしてくださって
本当にありがとうございます。

物件を見つけたときも
詳細を読み込んだときも、
妄想が止まらず本当にワクワクしました。

ああ、こんな京町家で
ゲストをもてなしてみたいものです。