たまらないな、
このキュッとコンパクトな和室。
思わず肩もキュッとすぼめて正座して、
麗しの建具にうっとり。
ぽってりした灯りはまるで
線香花火のジュクジュクの玉みたいで
思わず夏の匂いを思い出す。
ああ、そうだ、浴衣が似合う部屋。

窓は少し出窓みたいになってるんだ。
そこに一輪挿しなんか置いたら、粋だね。
窓辺に文机を置いてさ、
紙に筆を走らせてみたいものだ…。
ここで仕事をするなら
「ライター」じゃなくて
「物書き」を名乗りたい。

おっと、こんなに部屋があるのかい。

今いたのは、玄関入った土間の横、

いわゆる「店の間（ミセノマ）」な
二畳間だった。なるほど、いやはや、
たった二畳でも十分楽しく暮らせそうな
気持ちにさせてくれるなんて…！
京町家、ブラボー。

後ろを向くと、和室を挟んだ向こうに
小さな庭が見える。
たまらん眺めだ…。

お隣の三畳間、襖を閉めるとこんな。
おこもり感がよい。
木戸の向こうは階段、だから
通過するだけの部屋になりそうだけども、
必要な時は小さな個室にもできる。

ずりずりずり、と進みまして
渋い、素晴らしい、これぞ和。
庭の緑が見えて、控えめな光が差す。
だからこそ生きる、障子と格子の美しさ。

庭に面した縁側に洗面台があるのも良い！
ここでザブザブ顔を洗うところから、
朝が始まる。素晴らしいな。

鳥の囀りが聞こえたら嬉しい。
鳥の餌台を置こうかな。
濡れ縁で歯磨きしたり、一服して
ゆるゆると動き始める一日。

恐らく元々は土間におくどさんなど
置かれていたかもしれない台所。

庭に面した所にあるお風呂は
昔ながらのタイルに、ステンレス浴槽。
体育座りスタイルになりそうなのも、
少しくらい古いのも、へっちゃら。
両側に窓があるのも嬉しい。

年季の入った階段をトントントンと上ると

スッと肌に馴染む温度感の部屋。
風通しも良さそうだ。
あのちょっこり板の間はどう使おうか。

窓から見える小さな庭の
もりもり緑が、目にも優しい。

もうひとつの和室も、
たっぷりの窓で明るい。
天気がいい日には勝手に
おふとんもふかふかになりそう。

ひとりじゃ持て余しそうだから、
ふたり暮らし、なんてどうだろう。
平凡なアパートやマンションの部屋は
どうもしっくりこない、
生活するには困らないけど、味気ない。
かといって、デザイナーズ物件や
おしゃれリノベなんかは、
なんだかそわそわしてしまいそう。

そんなふたりを気張らずに、
迎えてくれそうな気がする。

ちょっと喧嘩しても、いつの間にか
ツンツン空気が丸くなりそうな、
部屋が仲直りさせてくれそうな
そんな懐の深さと温かさがある。
手が届くお値段なのも、嬉しいよね。