「路地の先」「路地の奥」。 そう聞くと、暗いイメージを 持つ人も多いかもしれません。 光が入り込まないのも 静けさや落ち着きを感じられて それはそれで魅力的ですが、 今回の物件はちょっと違うのです。

お家があるのは京都市東山区。 方広寺と豊国神社の近くです。 ご存じの方も多いでしょうか、 国の史跡に指定されている 「方広寺大仏殿跡及び石塁・石塔」に 面した路地に入っていきますよ。

元気な緑を目で楽しみながら、 路地をスイスイ進みまして……

こちら！　到着でございます。 いいですね、白と茶色の コントラストが美しくて。

スーッと奥行きのある、 京町家らしい細長い造り。 虫籠窓（むしこまど）もありますね。 お写真のちょっと奥、 ２階にある格子状の白い窓のことです。

ふと視線を落とせば、こんな侘び寂び。 雰囲気に合わせて、物件前の花壇も 作り直してくださったのですって。

ではでは、まずは玄関から。 物件はリノベーション済みです。 ふんだんに使われている やさしい色合いの木のおかげで、 どこか肩の力が抜ける雰囲気。

光が灯る階段の手すりに、 この物件を手がけた方たちの あたたかい心配りを感じますね。 ただ、日中はつけなくても大丈夫かな。 だってね、スイと天井を見上げたら……

高い高い吹き抜けから、 光が降り注いでくれるのです！ うれしいよう、うれしいよう。 吹き抜けの、深呼吸したくなる この解放感はなんでしょうかね。 いつだって心が解き放たれる気がする。

ちなみに、階段の横には スペースをいかした収納があります。 コンセントが付いているので、 ロボット掃除機のおうちにどうでしょう。 すぐ近くにある、扉の奥は……

トイレでした！ ころんとしたフォルムが かわいらしい手洗い場もあります。

ここらへんで間取り図をどうぞ。 1階には、寝室と水回り。 寝室を抜けた先に バスルームがあるのですね。 起きてすぐの朝シャンが はかどりそうな間取りです。 キッチンは2階にありますよ。

こちらは1階にある約6.7帖の寝室。 まるで和モダンのホテルに 迷い込んでしまったような…… 見てくださいな、ほんのりと 照明の光を浴びている あのアクセントウォール。

こちらにあしらわれた網代（あじろ）、 職人さんが丁寧に 手編みしたものなのですよ。 すごいです、努力と魔法の手だ。

寝室の中で、くるりと方向転換。 地窓からの光が、やわらかく フローリングを照らしています。

光は通し、視線は防ぐ。 プライバシーをしっかりと 守ってくれるのがうれしいな。

寝室の奥には 洗面所とバスルーム。 トイレと同じく、シックな ブラックの床がいいですね。

バスルームもかっこよく。 壁や床にビッタリとくっついた バスタブもありがたいかも。 隙間がないということは、 水垢とかの汚れたまる場所が 少ないってことでもありますからね。

それでは天窓からの 光を感じながら、2階へ。

こんなにオシャレな 吹き抜けの使い方があるのですか？ とびっくりしてしまいましたよ。 ソファとプロジェクターを置いて、 いざ始まります癒しの時間。

いいなぁ、こんな時間の使い方、 なんてうらやましい。 向こう側の壁に映像を映せば、 おうち映画館の完成です。

ちょっとひと休みしたいときは、 立派な梁をぼんやりと 眺めるのもいいですしね。

LDKは約9.3帖。 テレビを置くか、置かないか。 迷うのが楽しいお部屋ですね。 映画や音楽でこの空間を 満たしたい気もするな。

キッチンは３くちのIHコンロ。 微妙に色合いの違う扉が いい味を出しています。

バルコニーからも、 太陽の光が差し込みます。 「路地の奥の物件」の文字から この明るさを想像できなかった 自分が、なんだか悔しいな。 こんなに気持ちのいい 開放感のある空間だったのですね。 ああ、現実はなんてうれしいんだろ。

文・くまのなな 東京都在住のフリーライター。散歩中におうちの外観をつい見てしまう。主にツイッターにいます。 @kmn_nana