東京の下町、しかもJR線駅近で こういう懐かしい雰囲気の貸家、 なかなかお見かけしません。

立派な敷石と木の門構え、 内側から覗く木々にグッとくる 築58年の渋い昭和の民家。

４Ｋの広々とした間取りで お庭からの日当たりもいい感じ。

場所は根岸。 徒歩３分でJR鶯谷駅に着きます。

このエリアは江戸中期以降、 文人墨客も数多く住んだと言われる 閑静な別荘地のような地域でした。

明治時代の俳人・正岡子規の住まいが 再建されており、 なんとこの物件からは 目と鼻の先、徒歩１分。

子規のご近所さんになれる、 とも言える風流な立地。

…と言いたいところなのですが。

現代になりますと鶯谷駅前は "夜の街”と化しております。

きっと正岡子規もびっくり。

俗世界の匂いが漂う路地に 同じくらい住宅も建っていて、 多様な界隈がゆるく共存してる 独特のエリアだと思います。

そんな街並みとは少しかけ離れた、 一種の異世界的な日本家屋。

かつて江戸の頃は 鶯たちの声色が美しいと 評されたこの地。

専有の庭に 鶯が鳴きに来てくれるのかな。 …いや、さすがに今は来なさそう。

そんな世迷言を ぼんやり思うにも良いというか、 許されるような 家の雰囲気だと思うのです。

正岡子規がこの街で 『名月やわれは根岸の四疊半』と 詠んだ哀愁に共感してしまうような。

銭湯の水風呂を彷彿とさせる 深めのタイル風呂で 潜水したり。

のんべんだらりと 昼過ぎまで惰眠を貪ったり。

キッチンというより 「台所」と呼ぶのがふさわしい此処で 冬はとりあえず鍋を作る。

そういう日日が目に浮かぶ。

このあたりでは 数が少なめの戸建て賃貸。

さらに２階建で 約65㎡という伸びやかさ。

相談次第ではあると思いますが、 上野からも近いので 芸大生など大学生同士の シェア利用も 考えられるかもしれません。

それぞれ個室持てそうだし、

画材などもたっぷり 収納できそう。

洗面が２つあるのも シェア生活には便利。

２人暮らしをして 各自で仕事部屋を持つにも 十分の広さです。

リモートワーク生活には かなりありがたい間取り。

たまに庭先でサンマ焼いてみたり 夏の終わりに線香花火対決したり。

庭付き戸建てだからこその 過ごし方も楽しめそう。

JRの鶯谷駅、日暮里駅、 さらに日比谷線入谷駅まで 徒歩圏内という立地も 出勤や打ち合わせに 出るにはとても便利。

少しだけ足を伸ばせば 上野、谷根千、入谷と イースト東京の愉快な街への アクセスも良好。

下町の街歩き好きには たまりません。

歩いて１分のところには 『萩の湯』というかなり大きな銭湯が。

銭湯といえど露天風呂、炭酸泉、 サウナ、水風呂、大きな食堂もあって スパレベルの施設。 なのに銭湯価格ということもあって大人気。

『孤独のグルメ』に登場した純喫茶なども 近くにあって、飲食店巡りも楽しい。

近隣にはそこかしこに 正岡子規の句や解説が貼られていて、 子規がいた街なんだなあと その息吹を感じずにいられません。

夏目漱石や森鴎外が 子規を訪ねに来ていたそうで、 この家の目を 彼らが歩いたのかと思うと タイムトリップした気分になる。

此処で過ごす、 子規のご近所さん候補を お待ちしています。

文・戸田江美

デザイナー。おばあちゃんの仕事を継いで荒川区のマンションの大家をしている。落語が好き。@530e

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