目の前には青々と茂った樹、 眼下には七里ガ浜の街が広がり その向こうには海が きらきらと輝いています。 ガラス張りの室内から一望できる景色の なんと贅沢なこと。

大胆にせり出す2階部分、 とくにバルコニーに出たら もっと臨場感のある景色に 出会えるのだろうか…。 やわらかなグリーンの外壁が 特徴的なこちらのお家、 近代建築の三大巨匠のひとり、 フランク・ロイド・ライトに師事した 建築家・天野太郎さんの自邸として 1984年に建てられたものだそう。

玄関は2階にあるのですね。 建物面積は100㎡超。 図面で見て取れる通り ゆったりとしたリビングが このお家の主役に違いない。

引きでみてもやっぱり素敵で。 窓の縁に腰かけて 日が昇ってから落ちてゆくまでの 空の色、 季節がゆっくり巡っていく景色、 いつまでもいつまでも 眺めていられそうです。

抜け感のある室内窓の配置や やわらかな木部の色味に 品のよさを感じます。 こんなインテリアのセンスも そのまま真似しちゃいたいな。

利便性も兼ね備えた棚ですが うっかり乱雑に書類を重ねたりしないように 気を付けないと、と思います。 いつだってこのお家に 失礼のないように暮らしたいものです。

傾斜天井から 低い位置までぷらりと垂れた ペンダントライトは これ以外考えられない、というくらいに よく馴染む。 名作椅子、少し背伸びして 一脚だけでも置きたいな。

サニタリーでもキッチンでも イエローのタイルが きゅっと気分があがる差し色に。

このお家がたどってきた時間、 その分の味わい深さがありますが 水回りにはやはり 経年の傷みを感じる部分もあるそう。

もしもそこに 暮らしの不便を感じるようであれば 事務所としての利用はいかがでしょう？

気分転換に少し外の空気を吸って… なんて時に見える景色がこれならば アイデアも無限に広がる気がしませんか？

ギャラリーなんかにしたら 展示品も映えるだろうな。 この家や景色のすばらしさも 一緒に味わえるとなると 訪問する側も楽しさ倍増です。

テレビや雑誌で眺めるだけじゃない。 この美しい七里ガ浜で 「建築家の自邸」に住まう、 という選択ができるのならば 思い切って飛びついてみたい！と 胸が高鳴るのです。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。10年で8回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。 @hs_ryk