昔ながらの建具があちこち残された京町家。
思わず感嘆の声ばかり出てしまう美しさ。
百聞は一見にしかず。
とにかく見て、あちこち愛でて、
ほほぅと感心して、
ゆっくりしてってくださいな。

場所は、登録有形文化財にも登録された
船岡温泉の近く。
大正ロマン、昭和の空気が色濃く残る建物、
圧巻のタイル装飾が
非常に美しい温泉街です。

京都らしい落ち着いた風情の残る街並み。

そこにこの佇まい。渋い。
これだけでもう尊い。
土壁に虫籠窓、深い色の格子に二階の窓…
ああ、素晴らしや。
そしてこの距離からは
わからなかったのですが

玄関横のランプ…
かわいい！

乳白色に刻まれた模様。
夕暮れに灯るこのランプを見たい…。
ぽわんとオレンジ色の灯りが
こっくりした焦茶色を浮かび上がらせて
きっとすごく良い雰囲気に違いない。

玄関を入ると
漆喰と木のコントラストの美しさに目が行き

振り返れば格子戸の美しさに惚れ惚れ。

ミセノマに当たる部屋は

和室から洋室に変えられたようですが

赤みのある板の間が
しっくり馴染んでいます。
昔から、弁柄格子（べんがらごうし）など
朱色は京都に根付いていますよね。

格子窓越しの光を柔らかく映し出す。
ぼんぼりのような丸い灯りも柔らかい。

隣の間も洋室、その奥は和室、
と続きます。

和室はしっとり落ち着いた空間で
ガラス戸、障子で、
光量を調節できるのがいいですね。

そして、ガラス戸の向こうは
坪庭がありますよ。

砂利に小さな植栽、つくばい、
たったこれだけでも
和の趣を楽しめてしまうのですねぇ。

誰にも邪魔されない、
自分だけの小さな縁側、小さな庭。

先程の玄関土間から続くのは

この台所。
ここだけでひとつの世界が
できあがっている…！
レトロな照明、かわいい木戸、焦茶の箪笥、

梯子、上の窓からの光、
心を掴むものたちが集合している…。
あの梯子は…
今はどこかに繋がっているわけでは
なさそうですね。

二階への階段は
洋室横の扉を開けた先。

上っていくと目に入る、木の天井。
色味も木目も美しい状態で残っています。

燦々と日差しが入り、
昼間は照明なしで過ごせそう。

そう、古い家って、なんだか
肌にスッと馴染む感じがあり、
風合いが、目にも優しいんですよ…。

そしてこちらが、道から見えていた窓、
うっとりしてしまう、美しさ。

こんな和室で文豪のような気持ちで
仕事に取り掛かったら
捗りそうな気がするんですけども。
アトリエとしても利用可とのことで
制作やパソコン作業、執筆etc…

かたや洋室、

かたや和室、で
その日の気分で部屋を使い分ける、
なんてのもいいですね。

窓を開けると、なんとも和む町の風景。

部屋と町の空気そのまま
胸いっぱいに吸い込んで味わいたい。

洋室から出られるベランダも
空とのどかな雰囲気を感じられます。

気になる水回りは
一階の奥、和室の戸、
台所の木戸を開いた先。

まるっと新しいものになっていて
洗濯機置き場もあれば

つるっと新しい洗面所、

えっ、こんなお風呂ついてるの？

トイレもピッカピカ！と
逆に驚きが。

この風情とのギャップが面白くもあり
昔のお風呂やトイレが苦手…という
現代っ子でも困りませんね。

町家暮らし、憧れるけど
暮らすにはどうだろう…という

躊躇いがスッと消えるような、
少しハードルが低くなるような、
気がしませんか。

我が家がこんな風貌ってだけでも
相当に心がときめいてしまうし、

昔ながらの京町家の意匠や

味わいを楽しみながら
何不自由なく暮らせる。

一歩外に出れば、京都ならではの
美しさや楽しみがあちこちに。

このお値段でこの空気を
自分のものにできるのか！
という驚き。
シェア暮らし、という選択肢も考えると
なかなかに夢が膨らみますよね。