和室の横にある広縁（ひろえん）で ふと視線を上に向ければ、 自然素材を活かした 見事な網代（あじろ）天井に、 素朴ながらも品のある欄間。

照明は竹細工でしょうか、 なんて繊細な美しさだろう。 やさしげな光が周囲を じんわりと照らしていて、 ついうっとり眺めてしまいます。

外観はね、シンプルなのです。 親しみやすい雰囲気で、 あぁファミリーにぴったりの よく見るタイプの一軒家だなって。

だけど、意識すると見えてくる。 ここで暮らす方たちを思って、 細かい部分も丁寧に仕上げてくれた 職人さんたちのこだわりが。

職人さんのこだわり、 ひとつずつ見ていきましょう。 冒頭でご覧いただきましたが、 広縁の天井の意匠はもう 惚れ惚れする美しさでしょ。

何回見ても、やっぱりいいな。 職人さんたちが天塩にかけて コツコツと作り上げたのでしょうね…。 あの天井のすばらしい編み込み、 和の心をしみじみと感じます。

お隣の６帖の和室は、 小窓が付いたふすまの模様が魅力的。 エアコン、どこにあるか分かりますか？ なんと、壁に内蔵されているんですって！ 上部の羽板の向こうに隠れているのかな。 そのおかげで快適さも、 洗練された和の雰囲気も守られています。

リビングにも、うれしいこだわり。 テーブルの足元は、なんと 冬でも足がぽかぽかの掘りごたつ！ 短い脚のテーブルに変えるもよし、 写真のように長い脚のまま使うのもよし。 好みやライフスタイルに合わせて 自由に選んでくださいな。

引き戸の向こうにはキッチンがあり、 かわいらしいアーチの出入り口は 玄関につながっています。

では、まずはキッチンのほうを… すてき、広々したアイランドキッチン！ 大きな窓や勝手口から入ってくる たっぷりの光が、お料理中の手元を これでもかと照らしてくれます。 さわやかな光で満たされたキッチン、 気持ちまで元気になっちゃいそうだ。

バスルームや洗面所は１階に。 窓には面格子がついているので、 安全性と解放感のどちらもゲットです。

こちらは4.2帖の納戸。 棚もあるので、大量の荷物を 無駄なく収納できそうです。

２階へ続く吹き抜けの階段は レトロモダンな雰囲気なんですね。 手すりを支えるウッドバラスターは 品格があって美しく、 ほんのりアールデコの雰囲気もまとって。 なんてときめく姿でしょう…！ こちらの階段、既製品ではなく 職人さんの特製なんですって。

階段の途中には幻想的な ブルーのステンドグラスまで。 階段を使うたび、青に染まる光に ほう…と心を掴まれてしまいそう。

2階の洋室は、ベッドを置くだけでは もったいないほどのゆったりさ！ 間取り図の表記では１１帖です。 仕事や勉強などの集中スペースも お部屋の一角に確保できるかな。

３面採光のおかげで、 日当たりも申し分なしです。 連窓になった出窓もすてきだし、 見てください、そのお隣。 かわいい両開きの扉がついているのも 窓かなぁ、なんてキュートなの！

８帖の和室には、 これまた職人さんお手製の 桐タンスやガラス扉の飾り棚が！

さらにはふすまの和柄が なんとも愛らしく、華やかで。 もう、すべてにおいてありがとうー！と 職人さんにペコリと頭を下げたい気持ち。

2階のトイレだって、 こんなにチャーミングなのです。 ちょっとくすんだピンク色で統一。

場所は神奈川県の「真鶴駅」。 真鶴では、休憩ポイントが道端に いくつも用意されているそうですよ。 おしゃべりに花を咲かせる おばあちゃんに私もなれるかな。

果物や飲み物をそっとお供えしたり、

ご近所の公園をてくてくお散歩したり、

港でぼんやりと波の音を聞いたり。 物件を仕上げてくれた職人さんの こだわりを暮らしの中で感じながら、 自分の穏やかな老後を期待する。 そんなまったりとした生活が、 ここでなら自然とできそうな気がします。

文・くまのなな 東京都在住のフリーライター。1991年生まれ。漫画と水遊びとおもちが好きです。主にツイッターにいます。 @kmn_nana