そう、ほしかったのはこの床。
よく見かけるのに
実際にはなかなか出会えなかった。
この、寄せ木張りの床。

実家の台所がこの床で、小さい頃に
パズルみたいで好きだな〜と思っていて
料理をする母さんの足元で
ひとり、あみだくじをして遊んだ床。
リフォームできれいさっぱりなくなって
サヨナラすら言えなかった床。
親に「なんでよ！」とつめよりました。
それくらい、淋しかったです。

なので、また会えてうれしい。
時を経て、床の世界にも新風が
吹いたのかもしれないです。
気立ての良い寄せ木張りのあなたと
正反対にも見える
コンクリむき出しの無骨な壁や天井。

こんなに息がぴったりだなんて
想像力が足りませんでした。
とてもいい組み合わせですね。
それに、より一層上品さが
輝いて見えます。

…と、つい思い出に浸ってしまいましたが
実際のところ、床ってお家の
大きい部分を占めていると思いませんか。
私が幼少期に好きだったんだよと、
遠い記憶を辿るように。

そんな寄せ木張りが、玄関まで。
つい熱く語りたくもなってしまって。

銀色のダクトともお似合いだ。
これも初めて知りました。
黒枠のガラスドアとも相性がいいし
どこまで可能性を秘めていたの…。

誰にも邪魔されない一人暮らし。
ずっと思い焦がれていた床がある部屋。
もう誰もなくしたりなんかしない。
大人になるのも悪くないなと
感じるのはこういう時。

ミニマルにまとめられたキッチンだって
ひとりでやっていくなら
全然オッケー、問題なしです。
そして収納まで広がる愛しい模様。
一緒に暮らしてゆこう、床。

スクエアな洗面台だってそうです。
いつだって憧れていました。
大人になったら会えるかなと思っていたら
寄せ木張りの床が導いてくれた。

初めて一人暮らしする時は
ドキドキの連続だ。
「ここがいいですよ」
「これが便利ですよ」と
想像もしていなかった角度から
揉まれて、戸惑いまくって

焦ってしまって
「そうなのかな？そうだったんだ」と
揺れてしまったりもする。

でもね、いろんな条件や希望がありながら
「あ、ここ好きだった床だ」で
決めてしまう。
そんな、自分だけのブレなさも
私は大事にしたいな、と思いました。