私たち夫婦共通の、 来日20年になる親友が、 セカンドハウスを買ったというので さっそく見に行ってきた。

「歴史あるニホンカオク」と言うから どんな町家かと思いきや、 外観は最近できた 建て売りのようにきれいで 意外だったのだけど…。

中に入ると 日本の文化が大好きな彼らしく、 東洋の美にあふれていた。

宿にする予定で リノベーションされたものの 彼が入居するまでは未使用で まだできたての匂いが漂っている。

入ってすぐの3.5畳の和室は 彼の大のお気に入り。 すりガラスの建具に

存在感のある欄間。

レトロな切子ガラスの照明が 優しく照らす小部屋で ひがな一日、詰碁をするのが ここでの楽しみのひとつらしい。

続くダイニングキッチンは 遮るものがなく 奥の坪庭まで抜けていて 開放感があるつくり。

坪庭のある家に ずっと憧れていたそうで、 ほとんど、一目惚れだったそう。

「苔と白石のバランスがイイデス」 と、彼。

小窓の向こうは浴室になっていて、 庭を眺めながら ついつい長湯してしまうのだそう。 日本人顔負けのお風呂好きだ。

お料理で人をもてなすのが好きな 彼の妻さんには 少々狭いキッチンでは？と思ったけれど、 このあたりはおしゃれな町家カフェや 粋な料亭が多くあり、 外で食べることの方が多いから この広さでちょうどいいのだとか。

コンパクトで IHコンロも手入れが簡単で とても助かっているとのこと。 IHコンロ、うちもリフォームの時に 考えてみよう。

ダイニングの奥にはサニタリー。

洗面台も和のあつらえで素敵なんだけど、 いちいち自慢してくる彼が ちょっとおもしろくて、 いっそう場がなごんだ。

トイレのアクセント壁も品がよくて うちも取り入れようかな。

小窓の向こうは先に見た坪庭。 「今度くる時は泊まりで来て、 お風呂も楽しんでクダサイ」と彼。 厚かましいけど、次はぜひ、 お言葉に甘えさせてもらおうか、と 私と夫が笑う。

2階は和室がふた間あり、感心したのが

6畳の和室が 小上がりになっていたこと。

段差に間接照明が仕込まれていて とてもモダンな仕上がりで、

歴史を感じさせる太い梁との 相性もとても良く、 センスのいい彼にピッタリの 洒落たつくりになっていた。

4.5畳の方も上品で落ち着いた部屋。

ベランダにちょこんと 洗濯機があるのはご愛嬌。 洗い終わると、すぐに干せるから 意外と使い勝手が良いらしい。

収納も2ヶ所あるので

休暇で訪れる分には手頃な広さだ。

「いい買い物したね」と言うと 「清水の舞台から 飛び降りマシタ」とニヤリ。 そうだ、清水寺が近いものね。 すぐ南には京都国立博物館もあって 観光の拠点にもできる、とてもいい場所。

好きなものに囲まれて ほほえむ彼と妻さんは とても幸せそうで、私たち夫婦も 幸せをわけてもらい、 なごやかな気持ちになりました。

文・葱山紫蘇子 劇団維新派→色々→介護業を経験。漫画と建物と書き出し小説が好きな4人の子を持つ大阪のシングルマザー。 @sisokoex