樹の上に絶妙なバランスで存在する ツリーハウス。 そこで自然を感じながら 自由に暮らせたら どんなに素晴らしいだろう…。 昔、絵本で目にしてから ずっと憧れていた世界。

とは言え、仕事もしていれば 家族だっている私。 ツリーハウスで暮らすという選択は さすがに難しく この木々に囲まれた高台に建つ平屋に ほんのりツリーハウスのイメージを重ねて 楽しく過ごしている。

母屋のロフトに奥の離れ。 子どもも大人も 心躍る間取り。

玄関のかわいい柄が隠れないように 靴は手作りのシューズラックへ片付けるのが 家族みんなのお約束。 のはずなんだけど…

目の前に長い廊下があると 片付けもそこそこに走り出したくなる 子どもたちの気持ちもわかるんだよなぁ。

カラフルなクロスが たくさん使われたお部屋も むき出しの柱の枠組みがあると 不思議とまとまるものだ、ということには 暮らし始めて気が付いた。

私のお気に入りはこの時計。 ジャンプしてタッチしようとする 子どもたちを見ながら 頼むから壊してくれるなよ…と ヒヤヒヤするのもいつものこと。

高い天井と存在感のある梁は いつ見上げても気持ちがいい。

ロフトはどんな風に使おうかな…と 色々構想はあったけれど あっさりと子どもたちに占領されてしまった。

家族の寝室にしている洋室は 廊下に面して窓が付いていて 朝も柔らかく光を取り込んでくれる。

収納の充実っぷりも見事で シーズン中の服だけなら まるっと全員分入るのがありがたい。

キッチンは奥にひっそりと。 対面キッチンへの憧れもあったけど 今ではこの料理に集中できる 小部屋のような空間に たまらなく愛着が湧いていて

実家の台所のような佇まいも 私にはしっくりくるんだ。

脱衣所には 目が覚めるようなライムグリーン。

背面には大きな収納があって タオルや着替えをしまったり パントリーのように使ったりして 大変重宝している。

さてさて、ここが離れの入り口ですよ。

お部屋の中は 赤い天井がアクセントの和室。 ロフトは子どもたちに 独占されてしまったけれど ここは大人たちのお城。 私は山のような小説に漫画に建築本、 眺めるだけで幸せになるタイルのサンプル。 夫はカメラにプラモデル。 所狭しと「好き」ばかり並んだ 幸せな空間。

もちろん子どもたちだって出入り自由だけど そんなに興味はないみたい。 私たちの好きなものを 好きになってくれたらうれしいけど 彼らがこれから何を好きになるのか それを知る日が楽しみ。

まぁもう少し大きくなるまでは 私の「好き」に付き合ってよ。

木の上から見るような この抜けるような景色、いいでしょう？ ツリーハウスを知らない子どもたちにも 「ツリーハウスみたいだね」って言ってるけど いつか本物を知った時 「全然違う」って言われちゃったりして。

冒険するみたいに この小径を歩いた先には 私たちのお家が待っている。 憧れは少しだけ形を変えて 高台の平屋に。 だけど、今手にしている日々は 夢想していたツリーハウスでの暮らしよりも 幸せな気がするな、と ふと思ったりもするんだ。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。10年で8回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。 @hs_ryk