リノベーションマンションと一言でいっても 仕上がりはさまざま。 浅く広く好かれるお部屋から ごく一部の方にグサッと刺さるお部屋まで。 こちらはきっと、後者でしょう。

なんてったて、 まず間取りから「普通」ではない。 真ん中にぷくっと膨らんだアールの壁も 効率的なスペースかといったら そうではないかもしれない。

広々とした玄関から世 界観に引き込まれる。 もしゃもしゃとした観葉植物が 似合いそうだ。

ザラリとラフな素材感の木壁に トグルスイッチ。 余った部材で作ったかのようなミラーまで とことんインダストリアルな空間だ。

天井、高い！ むき出しのコンクリート梁や 白にペイントされた躯体。 ビビットなイエローと シックなネイビーの扉が 対極に並んでいるのだって面白い。 ここに来て 先ほどのアールの壁の謎が解けた。 テレビ設置予定のスペースが アール型になっていて 空間に奥行きを作り出しているのだ。 さらに、テレビの音響が部屋全体に 広がる役割も担っていて 映画館気分を味わえるというのだから あっぱれである。

木、コンクリート、ステンレス いろんな素材が うまく混ざり合っている空間。 至る所に遊び心があふれている。

さまざまな色や素材の建具を ランダムに組み合わせた壁は なんとも目に楽しい。 こんな空間でおいしいコーヒーでも飲めたら 気が付いたら何時間も経っていそうだ。

キッチンも期待を裏切らない！ ステンレスの壁やキッチントップ 背面のオープンシェルフは まるでお店の厨房みたいだ。 3くちガスコンロというのも 嬉しいポイント。

ビビットなイエローの扉の向こうには ちょっと広めのベッドルーム。 陽の光でスッキリ起きられそうな空間だ。

ザラザラ、ボコボコ 無骨なペイント。 これくらい型にはまっていない感じが たまらない。

もうひとつ、ネイビーの扉の部屋は 少しコンパクト。 このサイズ、書斎や趣味の スペースにピッタリだ。

バスルームは一面タイル貼りという贅沢さ。 バスタブについているのは憧れの、猫足！

金属管でできたシャワー。 どうやって使うのか 一瞬頭が混乱してしまう。 うーん、ここまで インダストリアルで攻めてきたか！

洗面台だって抜かりない。 スラっと美しい佇まいの洗面ボウルに アンティークなメッキゴールドの水栓。 骨董市場で見つけてきたような、鏡や棚。 どこを切り取っても、絵になる空間。

トイレはシックな雰囲気。 思わず考えごとをしてしまいそうな 落ち着く空間だ。

そうそう、お部屋には バルコニーが付いていて

さらにリビング横には こんな屋外スペースも。 バルコニーとしての使用はできないものの 視界がスコンと抜けて気持ちがいい。

しかし、これだけデザインにこだわった 「普通」ではないお部屋だと 家具を合わせるのが大変なのでは、 と気になるのが正直なところ。

それも心配ご無用！ お部屋にピッタリの家具家電が 付いてくるので 必要最低限のものだけで入居可能なのだ。

細部までこだわり抜いた インダストリアルな世界。 どうぞ、身一つで飛び込んでみては。

文・よしだゆき 街散策とタイルをこよなく愛するフリーライター。元住宅情報誌編集者。築35年の中古マンションをフルリノベして暮らす2児の母。