緑のカーテンからこぼれ落ちる やさしい光を浴びながら、 今日もすぅはぁと深呼吸。 この部屋で暮らし始めてから、 なんだか息がしやすくなった気がする。

私が光をたっぷり顔で受けて のんびりまったりしていると、 飲み物を持っていつも彼女がきてくれる。 「日焼けしちゃうよ」と言いながら、 けれどそれもありだねの顔で笑いながら。 私は「ありがと」とカップを受け取り、 その場でコクコクと飲み干す。

彼女と暮らすこの家は、 まるで夢みたいにおだやかだ。 私を脅かすものはなにもなく、 ただゆったりと時間が流れていく。

目の前に大きな公園があるので、 もりもりと元気な木々がよく見える。 公園で遊ぶことはないけれど、 季節ごとに変わる木々の姿を そばで見られるのはうれしい。 広々としたリビングダイニングの中で、 私たちは春夏秋冬の 4つの季節を味わうのだ。

ふたつ続いている洋室は、 扉で空間を区切らずに 大きな寝室として使っている。 ふたりでのびのびと 眠れるベッドを置いても まだまだスペースは余るけど、 窮屈なのはもういやだなと 私が彼女に言ったから。

たっぷり入る収納は、 まだいっぱいにはなっていない。 ちょっとだけの私の荷物を見て 彼女は少しだけ驚いていたけど、 「すぐに増えるよ」と いつもの笑顔で言ってくれた。 うん、そうだといいな。

料理をするときは、 賑やかな野菜のタイルが 私を見守ってくれている。 野菜のイラストを見て 「にんじんが余ってたはず！」と 思い出したりもするから、 なかなか頼れるお仲間たちなのだ。

天気のいい日は、 軽食を作ってバルコニーで ランチをすることもある。 公園の豊かな自然がそばにあり、 けれど誰にも邪魔されない ふたりだけのこの空間が 私と彼女のお気に入り。

独立洗面所は、大容量の収納つき。 こんなに入れるものあるかなぁと 彼女と笑い合ったけど、 タオルやら洗剤やら薬やら 意外と生活必需品は多かった。 これくらいあってよかったねと、 暮らしていくうちにふたりで実感。

お風呂はほんのりピンクの かわいい浴槽がいい感じ。 ふたりで入っても狭くない ゆったりサイズが頼もしい。

勝手口の先には、 洗濯機置き場とサンルーム。 洗濯物を干すと柔軟剤のいい香りが ふわふわとただようから、 特に用がなくてもたまに かちゃりと扉を開けたりする。

全体的にどーんと広めの部屋だけど、 トイレだけはこじんまり。 これくらいでいいのです、 ここはひとりで落ち着く場所だもの。

「一緒にいこうよ」と 彼女が連れ出してくれたあの日から、 私の人生が動き出した気がする。 何度もお礼は言ったけど、 いつもへらりとしている私の言葉が ちゃんと伝わっているか心配だな。 あなたになにかあったときは、 次は絶対に私が守ってみせるからね。

文・くまのなな 東京都在住のフリーライター。1991年生まれ。漫画と水遊びとおもちが好きです。主にツイッターにいます。 @kmn_nana