この眺めに一瞬で心を掴まれた。
パースの美しさだろうか、
斜めに走る焦げ茶の階段だろうか、
窓や上からの光の入り方だろうか、
いや、それら全てが調和して
成り立っているんだろうと、思わずうなる。
他の空間見る前に、既に
ここがこの家のベスポジ！
って思ってしまった。
築50年と聞いて、古いと感じるか
そんなものかなと感じるか。

階段向こうのリビングに入って
ここめっちゃ好きだわ！ってなった。
この築50年はアリだ。
市松模様の床と障子ガラス、
モダンな照明が、ほんのり大正レトロ。
さらには縁側まで…！

わっ、これはかなり良い縁側…。
さっきのベスポジ発言、ちょっと保留で…。

はぁ、光の入り具合も素晴らしいですね。
ラタンチェアを置こうかな。
え？ペット可なんですか？！
なんて懐が深い。
そりゃ、もうここで猫とふたりで
ひなたぼっこ決定じゃないか…。

壁は当時の漆喰のままだそう。
すこし経年を感じるけれど
古臭い感じはなく、
壁紙には出せない味わいがある。
教室を思い出す、あの穴が開いた天井パネルも
嫌な感じはしない。
壁、床、タイル、小窓、レトロドア、
目に入る全ての好感度が高いせい。

洗面所にズズズと寄ってみる。
ポッと灯る裸電球、白いタイルに
木枠の窓に入る三本のラインがいいね。

このドアも！！
あ、ちなみにトイレです。

スコッてスライドさせる木の棒の鍵。

あ、レトロな良さは、そのまま残して
トイレはアップデートしてくれている。

キッチンも、新しくしているのだけど
あえてレトロなホーローキッチンを入れたとか。にくいね。

おおお、お風呂は丸ごと新しいや。
逆にびっくりしたけど
水回りは新しい方が…という人も多いはず。

ここで間取りを。
1階のLDKと水回りだけでも
見所多かったな…。
チラと見えてたレールは
お風呂前のカーテンレールでしたか！
玄関前だからこその配慮。

このスケルトン階段は今風にも見えるけれど
なんとこれも当時のまま。
昭和の階段で、
このタイプはなかなか見かけない気がする。
大工さんの手仕事である。
よく見ると、階段下の木、面取りされてる。
（専門用語あったらごめんなさい）
お見事。

2階へ行って、
廊下の様子も、た、たまらん…！
擦れてる床も、窓も、壁も、電球も、
全部愛しい。

階段左の和室は、ほぼそのまま。
照明やら家具やらで
かなり雰囲気を変えられるのでは。

そしてもうひとつの洋室、
わ！なんだ、あの二段ベッドは！
押入れリノベかと思ったら
なんと元からこうだったそう。
なんてかわいいんだ…
あまりの感動に胸震えるわ…。
どうやって使おうか、
ひとりでふたつ使おうか、
ふたりでひとつづつ使おうか。

角の窓辺もいいよね。
机を置こうかな。
ここも、床と壁の色と窓のバランスが
絶妙なんだな。
どこも、じんわり温度を感じる。
古き良きものを大切に保ったまま、
主張しない新しさをスッとしのばせて。

この空間から感じるのも
そうか、そういう温かさだったのかも。

プロパンだったガスを都市ガスにしたり
耐震補強、断熱材追加…という
生活する上での安心や快適さまで
プラスしてくれていて。
この家に住み続けて欲しい…という
オーナーさんの愛。

ここは、中庭を囲んで建つ
三棟の戸建てのひとつ。
中庭は共有スペースとして、
交流の場として使えて
これからもっと緑も増えていくそう。
SOHOとしても利用可とのことで
色んな可能性を秘めた一戸建て。
古き良きものをしかと受け継ぎ、
守り育てていく、
じんわりあったかい未来が
ぼんやり浮かぶ、そんな家なのです。