その日、私は恋をした。

一つの物件に出会ったんだ。

その物件は千葉県船橋市にあった。

ＪＲ武蔵野線 船橋法典駅から徒歩17分と、
都心へのアクセスだけを考えれば
少々不利な立地と言えるだろう。


だけど今の私は
都心の会社に毎日出かける必要のない身分。


どこにある物件と恋に落ちようとも
そうさしたる問題ではない。
「ふふっ、塞翁が馬だな」
なんてことを考えていたところだったので、
ちょっと運命みたいなものまで感じてしまう始末。


物件は1981年築。そこそこの経年だ。

でも、リノベーションが施された中身は違った。

今っぽい躯体表しで過度な派手さはない。

そんな落ち着けそうな現代的なデザインに、
現代的な暮らしにマッチしていそうな間取り。

そして窓の外に広がる木々。

三方向あるバルコニーは
見晴らしも空間の広がりもくれる。

とても、いい。

しかし、何より私が心おどらせたのがここ。

玄関横の土間ホール。
見せる収納の奥にデスクスペース。

好きなものにギュッと囲まれた
自分だけのおしゃれな要塞。
うん、“城”よりも“秘密基地”よりも、要塞。

いい感じに穴ぐら感もあるからかなぁ。

収納スペースとしての使い道が
念頭なんだろうけど、
コレクションルームとしても使えると思う。

趣味が仕事になった
私みたいな人間にとっては、
魅力すぎる空間。

この空間が
LDKからも寝室からも
独立しているのが嬉しい。

LDKにも土間スペースがあって、
そこにデスクを置いてもいいけど、
没入して仕事したい派の私は、
玄関横の土間ホール最強説を唱えたい。
自転車を置こう。
今まではガチハマりを警戒して
あまりいじるのを避けてたけど、
ここの空間があるなら…がんがんいじる！と思う。

あ、あと
皆はちょっとした事と思うかもしれませんが、
このLDKと玄関横土間ホールとの間が
ガラス戸で区切られているのが良い。

機密性もそうだけど、
区切りという意味でとても良いし、
素材がガラスだからこそ
全く逆の一体感というか、
連続性も感じられて
占有スペースが広く感じられる。

この気遣いは寝室にも及んでいて
扉はガラス戸でありながら
透過性が低めで両立を狙っている。

やっぱ室内窓って良い。
こういうの、必須じゃないし、
なんだったらなんであるのか
分かりにくいと思うのだけど、
それでもあると、
暮らしていて「いいなぁ」と思えるもの。

そういう気づかいが
効いてるのもいい。いちいち、いい。

壁に映像を照射する用の
プロジェクター置き場が準備されてたり

機能的なキッチンには
ハンスグローエのキッチン水栓を

キッチン床の素材を
磁器質タイルにすることで
掃除しやすくするだけでなく
ゾーニングにつなげていたり。

トイレの扉に防音性能の高いものを
採用していたり。

こういうところが
きちんとされてると本当にグッとくる。

あとね、
やっぱりもう一つのこれかな
って言えるのがお風呂で。

これもきっと見てもらうとわかるだろうと。

露天風呂のオープンエアーな感じとは
全く逆の、
寝る前のお風呂で
深く考え事する私のような人間には
こういう空間で入浴できるってもう最適。

ほんと、惚れない理由なんてない。
よくぞここまで育ててもらえたな、と。

そしてあとは、私がちゃんとするだけだ。
惚れた弱みだからしょうがない。

お仕事もがんばろう。