白いタイルに木目のキッチン。 足元にワンポイントで 赤い壁がちらりと見える。 斜め上から照らしてくれる ブラケットライトもかわいらしい。

新宿御苑駅から徒歩7分。 8階角部屋でオートロック付き。 家賃も2人で頑張れば… なんとかなりそう。 内装もいい感じなんだから これだけでもう十分すぎるのだけど。

決め手はもう1つ、 別のところにあって。 この物件、DIY可と来たもんで それを聞いてもう即決。

もちろん内容は要相談だけど 棚を付けたり 壁の色を変えたりしても いいってことで もうワクワクが止まらない。

なんてったって私と彼は 「あそこに棚があったらなぁ」とか 「この内装は好みじゃないねぇ」とか あと少しのところを妥協できずに 随分長いこと部屋を探していたのだ。

そもそもこの部屋は 最初から私たちの好みに近い。 なんと、オーナーさんが 手作りでリノベをして完成させたらしい。 この玄関の床の柄とか もうドンピシャ。 「オーナーさんと気が合いそうだね」なんて 勝手なことを言って盛り上がってしまう。

シンプルな洋室は 手を加える余白を 残してくれているようで それもまたうれしい。

大胆に廊下の壁を 塗ったりしてもいいのかな。 でも、しばらくはこのままで シンプルな状態を楽しもう。

洗面所はすでに 大好きな色に染まっていた。 鏡も、こういうのがよかったの。 縁のところに ちょこちょこと歯ブラシとか置けるやつ。 木目のカウンターと 白い洗面ボウルの組み合わせも 好きだなぁ。

彼も気に入ったようで 「ここはずっとこのままがいいな」と 真剣な顔をして言うので 「ん－、しばらくしたら ピンクに塗りたいかも」と 冗談で言ってみたら ちょっと気の毒なくらい しょんぼりしていて笑ってしまった。 うそうそ、私もこのままがいいと思ってる。

お風呂には追い焚き機能付き。 建物の築年数は経っていても きちんと設備がアップデートされていて 安心感がある。

天井にはアンカーも打ってあって 憧れのハンモックもかけられるらしい。 やっぱりオーナーさん、 気が合うんじゃないかな。 どうして私たちの欲しいものが わかるんだろうか。

周囲には背の高い建物も多いけれど 8階ともなると 目の前はすこんと抜けて 青空が占める割合も大きい。

「『マンション新宿御苑』だって」 「わ、すごい！なんか、堂々としてる！」 なんて盛り上がって 建物名まで好きになって ここで私たちの新生活を 始めることに決めた。

持ち物が変われば 棚を増やしてみたり 季節がめぐれば お部屋の色を変えてみたり 私たちの暮らしと気持ちに 寄り添い続けてくれるお部屋。 さぁ、最初は何から始めようか、って 楽しい相談を、コーヒー片手に 新宿御苑の芝生でするんだ。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。10年で8回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。