こんなにも細くて、長くて、 そして美しいお部屋があるなんて。 ちょっと信じられない気持ちで しばらくの間 写真をじっと眺めておりました。

間取り図を見て なお驚いてしまいます。 お部屋の細長さもさることながら ほぼ同じ幅で 端から端までバルコニー。

使われているのは 同じ床材でしょうか。 室内を鏡でうつしたように 窓の外にバルコニーが広がっていて 住居とは思えない光景に ため息がこぼれます。

手持ちの家具は置けるかな？とか テレビとかはどこに置く？とか 現実的な疑問はさておいて 1日でいいから住んでみたい。 このお部屋に似合う私になって 絵になる暮らしをしてみたい。

ここにあるのは シンクとコンロのはずなのに 日常的な空気が少しも滲まず ただただ端正な佇まいで 惚れ惚れしてしまうのです。

お客様を招待したら 長いカウンターに ビュッフェスタイルのお料理が似合うかな。 雰囲気のある間接照明で シュワシュワと泡立つお酒も ひと際輝いて見えるはず。

奥にある洋室は ひと続きで使うこともできますが 時々はこうして こじんまりした空間に おこもりするのも 落ち着くかもしれません。

雨に濡れた姿も しっとりと素敵なバルコニー。 晴れた日にはヨガマットを敷いて 日の出とともにポーズをとったり 昼下がりにはワインを飲みたいし そのままハンモックで昼寝もしたい。 この広さだからできること、 きっとたくさんあるはずです。

お風呂もトイレも もちろんスケスケ。 開放的な空間ですが 5階なので人目は気にせず 存分にのびのび過ごしましょう。

そしてこちらの建物、 ブロックを無造作に重ねたような 印象的な外観にまたびっくり。

外にも中にも 驚きと、それ以上の美しさを 持ち合わせたこの家に 憧れは募るばかり。 1日でいいから住んでみたい、 いや、誰かが住んでくれたら 少しでいいからお邪魔したい、と 非日常に足を踏み入れられる日を 夢見ているのです。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。10年で8回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。