最上階には 探偵が住んでいるような気がするのは、 故・松田優作主演、伝説のTVドラマ 『探偵物語』の影響。 正確に言うと、 主人公の探偵さんが住んでいたのは レンガ造りのペントハウスですが、 こちらはコンクリートの梁が色気のある、 都会的な広いワンルーム。

1970年生まれのいぶし銀を スマートにリノベーション。 お部屋の形はほぼ正方形なのですが、 右下にサニタリースペースが集まり 居室がL字型になっています。 緩やかにお部屋の役割を 分けられていいですね。 事務所利用の相談も可能とのこと。

なので、ここはひとつ、 探偵稼業の方に住んでもらうのが しっくりくるかなと、 個人的には思うのですよ。

「お待ちしてました、ご依頼の方ですね」 と、ドアを開け 「ああ、スリッパをどうぞ」 ワイルドな見た目に反して 細やかな気遣いを見せたりして。

「父の、父のぬれぎぬを晴らしてください！」 なんて、目に涙を溜めた うら若き女性を前にしても、 「まあ、まずは、おかけなさいよ こいつは特別なブレンドでね」 冷静沈着にコーヒーを差し出す。

…延々と探偵物語ごっこを 続けていられそうなんですが、 この先は皆様のご想像にお任せするとして…。

探偵さんがコーヒーを 淹れるであろうキッチンが、 斜め壁でなんとも素敵なんです。 グリル付きの2くちコンロに 十分な広さのワークトップ。 探偵さんの大好きな、 豪華なディナーだって作れるかも。

洗面所も、キッチンと似たテイストで クリーンに、こざっぱり。 ウッディな洗面台と、 アイアンの棚やタオル掛けが よく合っています。

ワンルームですが、 トイレとバスはセパレート。

浴室も抜かりなく改装され、 大理石模様の黒いアクセント壁が おしゃれかつクール！ しかも、浴室乾燥機が備わっているので、 依頼人の目には届かぬように 洗濯物はこちらに干せますよ。 機能性も抜群ですね。

大理石模様は、洗面所の 外側の壁にもあしらわれています。 天井は断熱を交わすために 梁だけをむき出しのままにしたそうですが、 ダクトレールとの相乗効果で、 よりスタイリッシュな趣に。

アクセント壁の黒が、ここでも小粋に決まってる。 毎日、危険と隣り合わせ（？）の探偵さんが 休息するにはピッタリです。 ベッド横には、 ハンガーパイプが備え付けられているので、 自慢のスーツと カラーシャツのコレクションは こちらに並べてくださいませ。

事件が解決した夜は、 ソファーに沈みテレビを見ながら シェリー酒でもいかがでしょうか。

そうそう。こちら家具付き物件なんですが、 家具が無い時はこんな風で。

フローリングはヤマグリ無垢だから アンティークやナチュラルなインテリアとも 相性が良さげです。 家具の撤去は要相談なので、 お気をつけを。

あらためて見ると 細長いベランダもいい雰囲気。 植物好きな探偵さんでも 満足かもしれませんね。

雑居ビルが立ち並ぶ東京の 最上階の一室。 あの、ユニークでかっこいい 探偵さんの気分を味わえるような、 たまらない魅力があふれるお部屋なのです。

文・葱山紫蘇子 劇団維新派→色々→介護業を経験。漫画と建物と書き出し小説が好きな4人の子を持つ大阪のシングルマザー。 @sisokoex