テレビなんていらないな、って思ったの。 ゆらゆらとこぼれ落ちる木漏れ日に 表情豊かな木目 それを見ているだけで 1日なんてあっという間に過ぎるんだから。

オレンジの暖簾が目印の京町屋。 千手観音で有名な三十三間堂（蓮華王院本堂）の目の前にあります。

なんて広い土間でしょう！ 障子から溢れる優しい光で 明るく、開放的な空間。

お客さんが来たときには そっと障子を閉めて。 このスペースがあったら 座布団を敷いてお喋りするのもいいですね。

1階にはリビングと水回り 2階には和室が2つ。 坪庭に沿って水回りがあるんですね。 これは、あとでのお楽しみ。

土間からつながる リビングは広々としていて

かつて火袋だったところは 開放的な吹き抜けとして 生まれ変わりました。

建具や柱ひとつひとつに 歴史を感じさせる 質感と色合いを宿しています。

キッチンは近代的に。 作業スペースも広々しているから パンを捏ねたり、うどんを打ったり なんでもできちゃいそう。

レトロな食器棚もたまりません！ 少しずつ集めたお皿を 大切にしまっておきましょう。

一枚板のカウンターにも うっとりしちゃう。

このアングルなんて 老舗の割烹の雰囲気じゃないですか？ 優しい灯の中で しっぽり日本酒を飲む時間…。 想像しただけで ニヤニヤしてしまう。

収納棚を通って

質感が素敵な扉を開けたら

なんて気持ちのいい 洗面スペース！ トイレとの間は 曇りガラスでほんのり隠して 解放感は残したままに。

1階なのに随分明るいなぁと思ったら 坪庭に繋がっていたのですね！

朝起きて顔を洗ったら 坪庭に出て深呼吸。

誰にも見られない外の空間で ストレッチしたり 盆栽いじりしたり… 朝起きるのが楽しみになりそうです。

濡縁に落ちる 木漏れ日も綺麗だな。 お天気の日にはゴロンと横になって ウトウトするのもいいじゃない。

うん、どこを切り取っても美しい。 初夏には眩しいほどの緑 秋には萌えるような紅葉 四季折々の景色、期待できます。

お次は2階へ上がりましょう。 木製のスケルトン階段 軽やかな足音がするんだろうな。

階段を上るときには ぜひ天井を見上げてみてください。

ずっしりと頼もしい太鼓梁（ゴロンボ）に トップライトから見える青い空。 どんなアートよりも絵になります。

手すりはほら、長い年月で まぁるく、落ち着いた色に。

まずは、右手のお部屋から。

4.5畳の南側の和室。 吹き抜けに面した壁は 障子にすることでコンパクトなお部屋に 広がりをもたらしています。

モダンにベッドを並べるもよし 大きな収納が付いているから お布団を敷いて寝るもよし。 はたまた、茶室や客間として 使うのもいいですね。

襖を開ければ 向こうの和室までひと続きになるんです。

北側の和室は7.5畳。 ベッドを3台置ける広さです。

コロンボをあらわにした高い天井。 ごろんと寝転べば まるで別荘にいるかのよう。

見てください！ アールの木枠のすりガラス。 レトロな雰囲気にうっとり。

引き戸はガラスと木枠で 透明感があります。

ガラスにも さりげない模様を発見しました。 涼しげで、美しい。

2つの和室の間は 高い勾配天井になっていて すーっと空気が 抜けるような感じがします。

優しく家全体に光が降り注ぎ 照明をつけるのが もったいないくらい。

そうそう、2階の和室からは 南大門や築木塀が見渡せるそうで。 京都ならではの雅やかな景色を 身近に感じられますよ。

室内や外観 ため息が出るほど素敵な京町屋。 年月によって味わいが出た 木の質感や色合い 表情豊かな陽の光。 あらゆるところを愛でて、堪能して ゆったりとした時間を過ごしたいものです。

文・よしだゆき 街散策とタイルをこよなく愛するフリーライター。元住宅情報誌編集者。築35年の中古マンションをフルリノベして暮らす2児の母。