「家を選ぶときの決め手ってなんだろう」
ずいぶん前に、
友人とこんな話で盛り上がった。

その時々の生活に合わせて、
予算や間取りや立地など、
必要条件をもとに探し始めた物件の中から、
最終的に「ここにしよう」と決める、
あの瞬間にグッと自分の背中を押すものは何か。
そこを掘り下げてみると、
「とにかく安い方にした」
「清潔感に惚れた」
「陽当たり最優先で」
「近くに本屋があったから」
「なんだかワクワクした」
などなど、
その人の人生観そのものが
浮き彫りになるのが面白かった。

今になって
こんな会話を思い出したのは、
自分にとっての「決め手」を、
しみじみと感じる部屋に出会ったから。

あぁ、やさしい。
なんてやさしい部屋だろう。
玄関を開けた瞬間、
全身をホワッと包み込む「やさしさ」。
これこそが私にとって、
家を選ぶ一番大切な決め手。
外から帰ってきて
安堵感に包まれる場所があること。
そこから生まれる心の余裕は、
共に暮らす人との間にも、
やさしい気持ちを育んでくれる。

全体の間取りは
バルコニー付きの１LDK。
おおらかな開放感は、
17.5帖という贅沢な広さのおかげ。

ただ広いだけではなく、
風合い豊かな梁が
リビングとダイニングを
ゆるやかに分けることで、
それぞれを心地よい空間に。

穏やかに美しいリビング・エリアでは、
食卓で向き合う私たちの
寛ぐ笑顔が目に浮かぶ。
2つ並ぶ小さな窓が
ちょうどいい風通し。

窓の外にはかわいい柵と、
鉢植えが置ける隙間があるので、
ここで植物やハーブを育てて、
緑の安らぎを窓辺にプラス。

無垢板の床の温もりに
よく似合う家具を揃えるうちに、
自然と自分のセンスも
磨かれるような気がする。

奥のリビング・エリアでは、
大きな窓を全開にして
やわらかい光を浴びて
床でゴロゴロするのもいいな。
だってここは５階だもの。

窓の向こう側は、
7.12㎡という広さのバルコニー。
ここに素敵なラグでも敷いて
リビングの続きにしてしまうのも
いいかもしれない。
道ゆく人の目線も気にならない、
自由な屋外で寛ぐ贅沢。

眼下に広がるのは、
「日本の道100選」に選ばれた、
「さくら通り」という桜の名所。
満開の桜を自宅から眺めるという、
最高に贅沢な春の楽しみ。

寝室予定の洋室にも
バルコニーは繋がっているから、
まったりと夜桜を眺めて
ウトウトしてきたら
そのまま布団に潜り込んで、
美しい白壁には
プロジェクターで
お気に入りの映画とか
ドキュメンタリーとかを映して
そのまま寝落ち。
いい夢みるんだろうな。

扉やクローゼットの棚も
美しい無垢床と調和した
やさしい雰囲気。

洋室の隣は洗面所。
この広さと明るさに、
心がほわっと華やいで、
お化粧やお肌のお手入れも
自然にもっと楽しくなりそう。

お風呂場も浴槽も
洗面所に負けじと広々。
小窓が付いているのが嬉しくて、
ついつい朝湯をしたくなる。

トイレはすっきりシンプルに。

リビングに戻る右手には
ちょこんと洗濯機置き場。
洗面所が広かったのは、
洗濯機をここに置けるからなんだ。
こういう配慮の一つ一つに
やさしさが滲み出てる。

便利な位置に棚が付いていて、
デザインもおしゃれ。
籠や箱を駆使して
見せる収納にもチャレンジしよう。

玄関も、おおらかな広い造り。
せっかくの広さを大事にしたいから、
靴の収納には、
部屋の木目に合うボックスを用意して、
洗濯機の横に置こうかな。

三角の空間を生かしたキッチンは、
キリッとした機能美。
コンパクトながらも、
３くちコンロに、グリルに、
しっかりとした換気扇と、
行き届いた親切な設備が嬉しい。

心地よい照明を見上げて
ふと気づかされたのは、
白い壁や天井の温かみ。
白色って実はたくさんあって、
部屋全体の雰囲気を
大きく左右するけれど、
この家を覆う白色は、
心底ほっとするやさしい色味。

やわらかい光と、
豊かな木目と、
そして温かい壁の色味。
色々な気配が調和したやさしさが、
部屋を決める理由になる。

経年してきたからこその、
やさしさが溢れるマンションリノベ。
実はこの外観にも一目惚れ。
いつも春待ち気分の
やさしい暮らしが始まる場所、
ここにあり。