見るたびに姿を変える 世界の美しさに心が震える。 窓の大きさに惚れ込んで この部屋を選んだけれど、 正解だったなと毎日思う。

シンプルな1Kは、 私の暮らしによく馴染む。 物はなるべく少なく、 大切に扱えるだけの量を。

大きな窓のそばに置いた コンパクトなソファベッドが、 自然と私の定位置になった。 窓から差し込む光は時間によって 力強くなったり、やさしくなったり。 変化するきらめきを ぼんやり見ているだけで、 あっという間に時間が過ぎる。

空の色、雲の形、月の位置。 この部屋に越してきてから、 世界はぐんぐんと 新しくなっていくのだと知った。 昨日見た空は、今日はもうない。 その儚さに胸が熱くなる。

外がとっぷりと 暗闇に包まれたら、 ダクトレールの照明が この部屋を照らしてくれる。 コンクリートの天井が ぼんやりと明るくなって、 部屋全体が少し穏やかになる。

キッチンは2くちのガスコンロで、 ひとり暮らしの自炊には 特に不自由していない。 足りない調理スペースは、 シンクにまな板を渡して かしこく追加してやりました。

コンクリートの 凛とした雰囲気に、 ところどころ足された 木のやわらかさが混ざる。 いい塩梅だ、ちょうどいい。

バルコニーはないけれど、 洗濯には困っていない。 洗濯機をゴウンゴウンと回したら…

あとは、バスルームに ひょいひょいと干していく。 浴室乾燥機能のおかげで 雨の日もへっちゃらだ。

細やかなこだわりも、 私の暮らしを支えてくれている。 トイレにはあってほしい場所に 物を置けるスペースがあるし、

シューズボックスも ゆったりして使いやすい。

玄関はスッキリと 無駄のないデザインで、 帰宅した瞬間から気分がいい。

ひとり暮らしの味方、 宅配ボックスもあるしね。

外から見ても、 横長の窓が個性的。 けれどやっぱり、 部屋の中から窓の向こうを 眺めるほうが贅沢だ。

刻一刻と変わる、 この世界の美しさ。 その姿を、誰にも邪魔されずに たっぷりと堪能できるんだから。

文・くまのなな 東京都在住のフリーライター。1991年生まれ。漫画と水遊びとおもちが好きです。主にツイッターにいます。 @kmn_nana