丸。マル。〇。 まるですね、まる。

あまりに大胆な円形に 一瞬ぽかんとして。 こんな思い切った個性を どんな風に使ったら ご満足頂けますか…？と お部屋に対して 少しだけ怖気づいたりもして。 だけどやっぱり ワクワクがとまらないのです。

間取り図の中でも ひときわ目を引く円形ですが 「和室」のワードも見逃せません。 一体どんな組み合わせになるのか 予想もつかなくて うずうずしてきます。

まぁ一旦落ち着いて もう少し円形をじっくりと。 イエローが効いた空間には ミッドセンチュリーの空気も漂います。 天井からぷらりぷらりと落ちてくる 球体の照明もお似合いです。 圧迫感のないストリングカーテンは 緩やかな境界を作りつつ 幻想的な雰囲気も醸してくれます。

杉板の目地が転写されたコンクリートに 白塗装が施された天井は、 こだわりが詰め込まれながらも 円形のイエローを引き立てる 慎ましさも併せ持っているような…。 黒い配線もいいアクセントになっています。

そして何より カーテンの向こうに見える地袋や

障子といった 和テイストとのバランスがまた 素晴らしいんです。 この空間の不思議さを 加速させるようでいて やっぱりどうしようもなく ホッとすると感じるのは 日本人の血なのでしょうか。

和室がこれまたいい。 琉球畳がスタイリッシュ。 切り取られたような出入口は 異空間との境界のよう。

ちゃぶ台とお布団を揃えて 寝食はこのスペースに まとめてしまっても いいかもしれません。

シンプルでありながら 広さがあって収納も充実したキッチン。 吊り戸の木目に趣があって これも1つの異素材MIXでしょうか。 下の扉と材質が違うから あえて昔のものが使われているのかも… なんて、想像が膨らみます。

工夫の余地が残された ミニマルな洗面台。 ネットに入れた固形石鹸とか、 レトロフューチャーな小物たちで 彩るのも似合いそう。

きゅっと足をたたんで入るお風呂も 落ち着くんだよなぁ、と にんまりしてしまいます。 アツアツのお湯に 窓から差し込む光と風が きっと1日の疲れを吹き飛ばしてくれる。

そしてやっぱりもう一度、 何につけてもこの円形。 真ん中に円卓を置いて 素直にリビングとして使うのがいいかな。 クッション並べてリラックスしたり お仕事なんかしたら 新しいアイディアも浮かぶかも。

でも、友達が来た時なんかに この素のままの円形を見て 驚いてもらいたかったりもします。 ひとしきり感想をもらったら 地袋からいそいそと ツイスターとか ボードゲームとかを出してきて スペースを使い尽くして遊びたい。 そして皆が帰った後には 空っぽになった円の中で 満たされた気持ちと 少しの寂しさを感じながら 大の字になって天井を見上げたい。

きっとこの円形の中ならば そんな何でもないことが どうしようもないくらい スペシャルな時間になると思うのです。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。10年で8回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。