イーハトーブ…
この家に出会った時、
ふと心に浮かんだその言葉。
宮沢賢治の唱えた
「理想郷」という意味の造語だけど
この住まいは、
理想郷のひとつの形だな、と。

とんとんとんと石段を
上がった先に見える扉。

ほら、このギィと開く木の扉と
その向こうに見える緑と窓辺の様子に
もう胸の高鳴りが抑えられない。
物語が始まる予感が抑えられない。

この不揃いな窓辺も
なんだか憎めない愛嬌があって
庭や縁側からは今にも
楽しげな笑い声が聞こえてきそう。
出会ったそばからもう
スルスル心惹かれ

その先の玄関ドアの可愛さに
ノックアウトされたのでした。

玄関開けてもワクワクは続く。
前オーナーさんの趣味全開の壁、
なるほどなるほど。
ラフでピースな空気の元が
垣間見えた気がしました。
タイムリーにもここ最近
スケボー人気が急上昇してますよね。
せっかくなら、スケボー置きたい！

こっちから見る玄関もすごく良い！
オレンジのレトロなランプも
庭の緑が映える白い扉も、
大正解！って思わせてくれる。

間取りをまず確認してびっくり、
えええ、広い！
部屋が6つに屋根裏部屋、
さらには離れも。
敷地の地図を見ると、物置もあるし
「楽園」と読んで、むむ？！と思ったけれど
どうやら「菜園」。
とにかく広い。
まずは、個人的に非常に気になる
最初に見えた縁側のお部屋から。

わーお！二間続きの和室がこんなにも
ワイルドかつピースフルに。
薪ストーブ、
そしてゆらゆら揺れるハンモック…！

そこから眺める風景は
縁側、白の木塀、山々…
のどか三段攻め。（なんだそれ）
とにかく、のどか〜。

こんなの、ハンモックで揺られてたら
15分位のつもりが
気付いたら3時間経ってた、
ってありがちパターン。
でも、誰にも怒られない。
何にも追われない。
ああ、いい……（逃避中）

手前の和室は洋室に改装されてて
これまた気持ち良さそうなフローリングに
クセのない大らかな雰囲気が心地よい。
襖を取っ払った押し入れ、
布で軽やかに隠しましょ。

玄関横の洋室は、
なんだか懐かしさを覚える板張りの壁に
パーケットフロア。
実家の部屋感ある。
ふむ、スケ×スケのカーテン重ね、いいね。
窓を開けたらフワリと揺れる。

玄関から見えていたのは台所。
こうして見るとなんてことないのだけれど

こんな所にカラフルなモロッカンタイル！
不意打ちのズキュン。
カクカクの白いシンクに黒い蛇口も可愛いし

がっつり、でもスマートな
4くちコンロと来ました。
お料理好きの、キッチンだ。
チラリ見える金の取っ手も素敵。

台所の勝手口からは
離れが隣接していて、
作業スペースとして
外も活用されてたようですね。
トタン屋根を造ってくれてるので
雨の日も行き来しやすく、作業も出来る。
横には山水が集まる石臼が。

戻って洗面所へ。
コロンとしたボールには
花の縁取り、キュイッと回す真鍮の蛇口。
ああ、かわゆ…。

お風呂もレトロ感はそのまま残りつつ
清潔感があります。
パカッと両開きタイプの窓、珍しい。

恐らく昔は和式だった
トイレも新しく機能的に。

2階は仕切っていた襖をなくして
広々空間に。
赤いカーテンの窓の向こうには
素晴らしい景色が広がっています。

この和室の横にあるのが屋根裏収納。
収納と言っても、子どもなら
絶対大はしゃぎのこの空間。
大人でもワクワクしちゃう。

さてさて、お楽しみは外にも続きます。

先程の母家隣の離れ、の
前にあるのは…
なんと手作りのピザ釜！

そして、その奥に続くのが
この広々とした菜園。
高台にあるおかげで見晴らしも
半端なく良い。
こんな所でここで育てた野菜たっぷりの
ピザパーティーや
BBQなんて楽しすぎやしませんか。

なんだか、胸がキュンとなる、懐かしさ。
昔、アジアの片田舎を旅した時に
出会ったような風景。

戻って、味わいのある建物やピザ釜、
元気な緑を見て思う、
ああ、この家全体に満ちているのは
生活を謳歌する空気、
地に足をつけて暮らすことを
楽しむ精神なんだなぁと。

坂が多かったり冬は寒かったり…
そんな不便さがあろうとも
それらを上回る、
楽しもうという気持ち。
楽しめる気持ち。

冬は薪ストーブで暖を取り
夏は吹き抜ける風を感じ…
四季折々の山の表情を目の前に見つつ
大らかに心豊かに暮らせそう。

何気ない風景も絵になりそうな
こんな家で悠々自適に暮らすって、
何よりも幸せなことなのかも、
と思えたのでした。
この広さにこのお家賃…！
ふっと手を伸ばせば
理想郷を手にできる可能性に
胸が高鳴るのです。