2人の共通の趣味はキャンプ。 季節を問わず楽しむための装備も 徐々に揃ってきた。 更に言うと 彼は夏になるとサーフィンに繰り出すし 私はちょこっとだけ 自転車にこだわりがある。

そんな私たちの生活は 趣味に関するモノに溢れていて 一緒に暮らす家探しは それはもう大変だった。 あれが置けない、これが入らないと 揉めてばかりで 一緒に暮らすこと自体 見送ろうか…と 険悪な空気が漂い始めた時 この部屋に出会うことができた。

59㎡の1LDKは 広さや収納のキャパシティのみならず 打ちっぱなしのコンクリートや ナチュラルな風合いの木材なんかも 求めていた雰囲気にドンピシャ。

この玄関土間を見た瞬間から 私たちの心は掴まれていた。 ラックを置けば サーフボードや自転車もディスプレイできるし メンテナンスだってできちゃう広さ。 仕事用、街用、山用、川用、海用…と、 いつしか大量になった靴たちも 綺麗に並べられそうだ。

私の中での1番の決め手は 憧れのハンモックフック。 いつか家を建てたら絶対つける！と 密かに決めていたけれど こんなところで出会えるなんて。 私はこっそりと心の中で この部屋に住むためなら 思い切って断捨離したっていい… とさえ思った。

優しい日差しに無垢のフローリング、 コンクリートの壁にむき出しの配線。 全てが調和した部屋に ネイビーのドアのアクセント。 この空間でハンモックに揺られる 自分の姿を想像したら 幸せすぎてにやけてしまったぐらいだ。

素敵なキッチンにはしゃいでいたのは 彼の方。 ステンレスのキッチンが 相当気に入ったみたい。 それに、オープンの棚を見て 「ここにキャンプ用の食器とかも 綺麗に重ねて並べたらさ 見てるだけで幸せだろうなー」って。 うんうん、わかるよ。

しかも4くちコンロときたもんだから 今まで1くちコンロの家で 四苦八苦しながら料理をしていた彼は 大興奮。 もう、4くちを同時に稼働させるメニューを シミュレーションしていた。

ロッジに来たような感覚の正体は なんだろうなと考えていたら 賃貸には珍しく 脱衣所までフローリングだからかな、と 思い至った。

大きな洗面台は 外で汚したウェアたちを じゃぶじゃぶ洗うのにも大助かり。 それに、造作の洗面台のデザインが シンプルでかわいらしくて、とても好みだ。

9.6帖と広い洋室は 板張りの壁にオープンラックという DIYしたようなラフな風合いが落ち着く。 「ショップみたいに服を並べようよ」と 彼は言うけれど、ものぐさな私には 少々ハードルが高い。

そこにこのウォークインクローゼット。 非常にありがたい。 何でもハンガーにかけられる！ それに、細々したアイテムを詰めた コンテナボックスとかも ポンポン置けちゃいそう。

もうここがベストだよね、と言いながら 彼と、どこに何を入れるか 入りきらないものはないかと 確認していたら 案内してくれた担当者さんが 「この物件、各部屋に 外倉庫も1つ割り振られてるんです」と とんでもなく素晴らしい情報を 出してきたものだから 迷う余地は1つもなくなった。

最後に、長いベランダに気付いた彼が 「大きいテントでも干せるよね」 なんて言うもんだから ついつい 「このまま買いに行く？」 と返してしまった。 2人して浮かれすぎている。 だけど、この先も浮かれたまんま この家で趣味全開の毎日を送るのが この上なく楽しみなのだ。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。10年で8回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。