四季は春からはじまるもの。
春、夏、秋、冬。そしてまた春が回ってくる。
そんな事を感じさせてくれる季節ですね。

冬が終わりをつげて春が来て、
この縁側の扉も開放され
外の空気を家いっぱいに迎え入れると
より一層に外と中が一体になるこの感じこそ和建築。

南西の角地。
ゆったりとつくられた贅沢な平家。

広縁に沿ってもうけられた
木製の窓枠で支えられた大きなガラス戸。

その向こうに見える素朴で美しい庭。
その庭に配置された飛び石。

庭の角に設けられた門を潜り、
飛び石の流れに誘われる形で
庭を楽しむ。

飛び石の示す道は
勝手口にも、縁側にも続き、
もちろん玄関までもたどり着く。

玄関を入るとそこにも敷石が。

扉で区切られてはいても、
内と外との連続性を感じさせる意図を感じます。

とどめと言ってはなんですが、
玄関に入るとこの中庭が目に入るわけですよ。

先にも述べたように、やっぱりこの
内と外が続いてこその和建築ですよね。

雪見障子もそうですし、
障子に映る庭木の影もそう。
四季に移ろう自然を取り込み
室内で楽しむ術というわけです。

そしてそう、お気づきになられた方も
ひょっとしたらおられるかもですが、
玄関横の窓の下にはにじり口もあるのですよ。

ここから入れる和室には
炉も切られており、茶室としての利用が可能。

天井も網代で仕上げられてますね。
室内も全体的に
現代茶室っぽくすっきりとしたデザイン。

この物件はお金も技術もしっかりかけて
作られているようですが、
それを派手な装飾に向けている様子はなく、
あくまでも
あまり目立たない箇所にこそあらわれており
種種の天井にもそれが見てとれるわけです。

ほら、庭に面した
気持ち良さげな和室の一つは船底天井で

もう一つの大きい和室は
比較的目にしやすい竿縁天井。

そこにつながる
きっと家族が
日常的な食事をするだろう食堂部分は
もう少しシンプルというか簡素というか
そういう作りの天井の設え。

そしてたぶんこの洗面所やトイレの天井は、
簾天井なのかな。

湿気が少し多めのところだからこその
このチョイスだと思うのです。

それぞれの場所、意味合いを
きちんと考えられた選択が見事。
良いですね。
培われた造詣のなせるわざ。

ちなみにキッチンもそうですが、
トイレや洗面台など水回りは相当に現代的で

使い勝手はもちろん良いと思うのです。

なかでも特に注目はこのお風呂。

木の香りと
落ち着いた雰囲気と高級感。
それに日常使いを考えた構成ですよね。

窓の外に囲いが見えるので、
外からの視線を気にせず
窓を開放できそうなのも良い。

こんなところにも
内と外の繋がりへの徹底した心遣いが。


うん、本当に四季を慈しむ意図を感じる
とても良いお家だと思います。

大切に住み継ぎ、育てていってあげて欲しいです。
良い人と出会えますように。