こだわりが強いくせに リサーチ下手な彼。

一緒に暮らそうという話は 前から出ていたけれど 普通の部屋じゃつまらないという彼が 納得する物件を探し出すのに 随分時間がかかった。

部屋探しは楽しいけど 提案した部屋を ことごとく却下するもんだから 自分で探せばいいのに…とも思ったり。 だけど私も意地で探しまくって とうとう、彼がぐうの音も出せない 素敵な部屋を見つけてしまったのだ。

一見普通の1LDK。 でも、洋室とLDKが 玄関とキッチンの両サイドから アクセスできるとことか 水回りの配置とか よく見ると結構変わってる。

見どころの多い部屋だけど このキッチンだけでも 料理好きの彼の心は掴めたと思う。 ステンレスとモルタルのキッチン。 大きな無垢材のカウンターを見た瞬間 彼が、前から目をつけていた アンティークのスツールを スマホで確認しているのがチラリと見えた。 こりゃ、買っちゃうかもな。

ポイントであしらわれた床のタイルと ペンダントライトもいい感じ。

引き出しが多いのもうれしい。 特に浅い引き出し、 カトラリーとか平皿とか 上から一目でわかるように 綺麗に並べたい。

とびっきりポップなイエローの奥には 大きなパントリーが 隠れていた。 2人揃ってお酒好きの私たち。 ビールとハイボール用の炭酸水は いつも箱買い。 これでは、ますますストックが 捗ってしまうなぁ。

1番左は、洗濯機置き場みたい。

リビングの壁にはニッチが。 ミッドセンチュリー風のクロスが アクセントになっていて 何も飾らなくても絵になる。

造り付けのテレビボードも 塗装の壁によく映える。 私たちはあまりテレビを観ないので かわりに大きな絵を立て掛けよう。 音楽は四六時中流したいから ちょっといいスピーカーを 新調しよう。

お隣の洋室は 壁一面がオープンクローゼット。 ラフにかかったカーテンが 様になっている。

そしてなんと、 この部屋の一角、 クローゼットの先に 洗面台があるのだ。 変わってるなぁって思ったけど 「起きてすぐ顔洗えるじゃん」 と彼が感心していたので これはこれでいいかもしれない。

浴室の入口も、この洋室に。 明確な脱衣所はないけれど 床がタイルになっていて 洋室との間をカーテンで仕切れる。

浴室は広々。 スタイリッシュな水栓、 使いこなせるだろうか。 なんと天井には レインシャワーも付いているらしい。 全体的にラフな雰囲気の中、 ここだけホテルライクな感じが 際立っていて 長風呂派の私にとっては最高だ。

トイレは リビングの飾り棚とおそろいの 派手なクロスでかわいいんだ。

そして、どうやって使うか ワクワクしているのが この広い土間スペース。 シューズラックや自転車を 置くのはもちろん、 作業テーブルを置いて アトリエみたいにしたり…

居室と一体化させて もっと広々使うこともできそう。 自由度の高い空間で どこまで遊べるか… 彼も同じようにワクワクしていて もうこの家に住むことは 既定路線になっているみたい。

部屋も最高だけど 目の前に川が流れているのも 同じくらい決め手になった。 もっぱらインドア派の私たちだけど 唯一、川沿いを散歩して ベンチに座ってビールを飲むのは 大好きな外遊び。

この川を眺められる 広いベランダを見て あぁ、これでとうとう 家から一歩も出ずに 楽しめてしまうじゃないか、と 気付いてしまった。

横で同じことを考えているであろう 彼の嬉しそうな顔を見てたら まぁ、この人とならば それもいいか、って こっそり思ったんだ。

文・ほしりょうこ 散歩とビールと読書が好きな、元リフォーム屋さん。10年で8回の引越しを経験。もっぱら東京の西側にいます。