大正から昭和初期にかけて、 今見ても新鮮で驚くようなセンスの モダンボーイ・モダンガール、 いわゆる“モボ”、“モガ”と 呼ばれる人たちが 町を闊歩していました。 その頃の喫茶店や住宅形式にも見られる いわゆる「大正ロマン」風のものたちの 和洋折衷な建具の雰囲気。 西洋文化を取り入れつつ 日本独自の美的センスによって 磨かれていったものだと思います。 このたび、そんな人たちの心を ギュッと捉えそうな 団地が誕生しました。

「大正ロマン」をテーマに リノベーションされたという こちらの団地。 大正ロマンというと、 ダークブラウン、赤、黒、といった パキッとしたイメージが浮かぶのですが

ここは、角が取れて柔らかな雰囲気に。 外の世界で疲れて帰ってきても 優しい空気で包んでくれそうな くすみパステルグリーンの建具に アールを描く入り口…！ 目の前に見えるガラス窓にもキュン。

アールの入り口から続くLDKは あちこちに、素敵！かわいい！が 散りばめられてて、目と脳内大忙し。 古い柱と梁は残され、 明るく使いやすく垢抜けて。

白いタイルで覆われたカウンターの内側の キッチンはこんなにスッキリ広々。

キッチンの壁のマジョリカタイル。 思わず指でなぞりたくなるデザイン。 元はイギリスの陶器メーカーで作られ 大正から昭和初期に 日本独自のデザインを加え 多く生産されたそう。

特筆すべきは このランプシェードたち！ 色とりどりのレトロなガラス、 向こうはアンティークの窓ガラスのよう。 思わず料理の手を止めて うっとり見入ってしまいそう。 眺めるだけで嬉しくなるものがあるって 小さいようで大きな幸せ。

遮るものがないから 陽射しがたっぷり入って、 窓の向こうには団地の風景。 ほんのりノスタルジー。

ひとりだとちょっと広いかな。

好きなものが似てるふたりが暮らして ここに合う家具やカーテンを あーだこーだ言いながら厳選したら きっと楽しいだろうな。

梁には好きなファブリックが掛けられる ファブリックハンガーもついてます。

お休みの昼下がりにはカウンターで ゆっくり淹れたコーヒーを、 夜にはランプだけを点けて カランコロリとハイボールを楽しんだりして。

リビングから繋がる洋室との仕切りは 他の建具とお揃いカラー枠の障子。

ふたり分でもたっぷりしまえそうな 収納スペース。

ポールの右と左で半分ずつね。 布でふわりと目隠ししようか。 小さめの部屋だからベッドは 低いものを選ぼうか。

横には1畳分のクローゼットまであって 可動式の棚があるのが嬉しい。 奥の窓が玄関から見えていた窓！

水回りもきれいにアップデートされて

媚びないシンプルなつくりに いいねいいね、となりつつも おや、鏡に映り込むタイルは…

ああ、かわいい！ トイレの壁でした。

渋めクラシックなモロッカンタイル。 こういう所々のタイル使いと色味に グッときます。

借りるんじゃなくて買う…ということに ためらいがある方にもお勧めしたいのが 「買取保証オプション」というものです。

購入してから10年、 20年が経ったタイミングで、 団地モガをご購入した方が希望すれば、 この物件を扱う団地再生事業協同組合さんが 団地モガを買取するという保証契約だそうです。 買取金額は10年後では70％、 20年後では50％、とのこと。

もちろん、買取を希望しなければ、 そのまま団地モガに住み続けられます。 「若い世代を団地に呼び込みたい」 そのためにはどうしたら？ 「団地を買いやすい仕組みを作ろう」と 集まったという団地再価値化協議会。 平成30年度の国土交通省の 補助事業採択を受け、 この買取保証の仕組みを開発したそうです。 団地を買う時の不安を少しでも 「あんしん」につなげる仕組み、 ぜひ利用してみては。

好きなものに囲まれて、 センスを磨き、凛と生きる。 そんなイマドキのモボモガたちに そっと教えたい。 団地を愛する人々の手によって こだわってリノベーションされた 素敵なお部屋。 優しいノスタルジックに囲まれて 晴れやかな気持ちで暮らせそうな この場所が、住む人によって どんな風に彩られ 変わっていくのでしょうね。 大正と令和のマリアージュ、 とっても気になるのでありました。