この重厚な空気に思わず息を飲んでしまう。

新築や最近流行りのリノベーションでは 決して出せない味わい、コク。 もちろんどちらが良い悪い、ではなく 比べられるものではない。

ただ、それなりに時間を経てきたものにある どっしりとした安定感とか包容力とか そういう空気に満ちていて。 どこも手を抜いておらず、美しい。

カットガラスが美しいライトに 白いヘリンボーンの天井だとか

真鍮の手すりに

手に収まる度になんだか嬉しい 真鍮のドアノブ。

大きくゆるやかにカーブを描く出入り口は 落ち着いたダークブラウンの木で覆われて。 その向こうに見えるライトも アンティーク調の木の壁も ベランダにチラリと見えるレンガも 素晴らしい、としか言いようがない。 うーーん、参りました。

階段があるから一軒家と思いきや メゾネットのマンションなのです。 文字が見づらいのですが… 5階部分に玄関とLDKがあり、 階下に洋室が３間とサニタリースペース、 という間取り。

1962年築なので、 そこそこお年を召しているのですが なんともいえない艶やかさといいますか、 上品な色気を感じます。

アンティークショップで買ったら なかなかお値段のしそうな大きな棚が もう既にそこにある。

このキッチンなんか、 美味しい焼き菓子が 次々出来上がってきそう。

一番広い洋室には 暖炉まである…！

天井際のモールディングと相まって 異国情緒を漂わせながらも 淡いクリーム色なので嫌味がない。

光で少し見えにくいけれど 窓ガラスに縁が入っているの、 わかるでしょうか… ほんのり大正レトロな。

ああ、向こうに見える部屋のドアも好き！

さっきアップで見たドアノブや ガラスのライトは この部屋のもの。 寝転んだ時にヘリンボーンの天井が 見えるなんて、なんて幸せ！ ガラス扉の収納にはカーテンがつけられて こういうちょっとレトロな 上品さにもグッとくる。 お気に入りの本たちをぎっしり詰めたい。 ただ背表紙のかっこよさに一目惚れして 古書店で買った洋書、 小さな頃に何度も読んだ ミヒャエルエンデの本、 美術館で買い集めた画集… 扉を開いてはうっとりするんだ。 あ、たまにはちゃんと読むよ。

この階の一角には なかなかの容量な上にストイックな ウォークインクロゼットが。 窓があるおかげで 陰気じゃない空気なのも嬉しい。 洋服は季節ごとに分けて コートはポールに掛けて シーズン家電も ここにごっそりしまい込もう。

マンションの共用部分も ミッドセンチュリーがしっくりくる こんな素敵な空間。 場所を調べて、ほぅと納得。 かのD&DEPARTMENTが 入るマンションのようです。 やはりセンスが良い店舗がある近くだと 感性が磨かれるのかもしれないなと 妙に納得したのでした。

良いものを長く使う。 このお部屋もそんな思いとセンスを 持った方が住まわれていたのかしら。 住まいへの愛情が 滲み出ているような気がしました。

こんなマンションの一室があることに 驚きと敬意を感じつつ、 この飴色の床が より一層輝きを増す日々が 積み重ねられていきますように。