そうなんです。
大体そういう家は玄関や、窓の造作から
グッとくる気配を放ちまくっていて。
ほら、この玄関先。
ちょっとハイカラな空気でしょう。
大人しめな和洋折衷でありながら
そこはかとなく漂う、品性。
それはどこから来るのかしら、
瓦の屋根かしら、
はたまた出窓の白い窓枠かしら。
間取りがね、またすごいんです。

間取り図眺めるだけでも
しばらく楽しめそうな、
複雑豪華なこのつくり…
パーティールームがあったり、
茶室があったり、
広い縁側があったり、
長〜い「ローカ」がいくつもあったり、
えっ、表を向いてる勝手口、
大きすぎやしませんか！とか
パーティールームへの入り方を
延々と考えてしまったり。
よく見たら出入り口が４つ位あるぞ？！とか
ああ、楽しい楽しい。
玄関のある側の母屋は
100年越えの大正生まれ。
パーティールームやキッチンあたりは
昭和30年代に増築されたのだそう。

母屋の玄関、
渋くなったタイルの色味と
明るいクリーム色の壁に加えて
置かれた調度品が、なんとも素晴らしい。

応接間として使われていた洋室もこれまた！
床の色、模様といい、
まぁるい照明に、
赤いベルベットのカーテンに金のフサ！
完璧なレトロモダン。
よく見ると天井も凝ってる。

二間続きの和室は
随分と綺麗な状態だし

床の間横の書院欄間の細かさ、美しさに
つい目が行ってしまいますよ。

ああ、この広い縁側、最高！
こういうスペースには何故こんなにも
藤の家具が似合うんでしょ。
たっぷり全面ガラス戸で陽当たりも抜群、
スーッとした天井の美しさにもうっとり。

大きな出窓がある和室、いいですね。
ちょっとした作業スペースにも、
腰掛けにもなりそう。

板の間を書斎のようにしてる、
こういう使い方も好き。

増築された方では
当時、お料理教室を開いたりしていたそうで
奥様方がハイカラな洋食など
作ってたのかしらと想像してしまいます。
そうそう、原色のテラテラした写真の
昭和の料理本眺めるの、楽しかったなぁ。
手間暇かけた夢のようなご馳走が
凝ったお皿に盛り付けられてて。

パーティールームには
どっしりしたつくりの暖炉まで。
布のシェードの電気スタンドに、
フリンジがついたカーテン、
ビロードのソファにレースカバー、
ぐっとくる正統派レトロインテリア！

大きな窓があって
庭の緑が見えるのも
ゆったり優雅な気持ちになりますね。

茶室もこれまた美しく整った空間で

こんなに上品な水屋も。

美しく作り込まれた和室、
茶道、華道の教室としてまた使われたら
きっと嬉しいでしょうね。

お風呂は昔ながらの
コンパクトな湯船&洗い場が広いタイプ。
床のタイルの色がいいな。

トイレはばっちりレトロ窓が残りつつ
洋式になってますよ。

そして、庭にはなんと蔵まである…！
手前の煙突付きのレンガ造りのものは
焼却炉…？窯…？

さらに、井戸だった場所は
石造りのテーブルとベンチが。
その昔、ガーデンパーティーが
開かれたりしていたそうですよ。
しっとり和風に、モダンな洋風、
蔵に元井戸のガーデンスペース…
おそらく社交家の方が住まわれていた
盛り沢山な豪邸、でも意外とお手頃価格（？）！
過ぎし日の暮らしに思いを馳せながら
華美ではないけれど、
丁寧に造られた建具、
あちこち散りばめられた美しさに
うっとりしてしまいます。
やっぱり昔の建物は素晴らしいなぁ、
簡単に壊してほしくないなぁ、と
しみじみ思うのでした。