子どもの頃 教会の高ーい天井を見上げて 吸い込まれそうな気分になった。 まわりの音が遠のいて ひとりだけ別世界にいるような感覚が 心地よくて 何度も何度も見上げたっけ。

近くにはアーケード商店街や 小さな神社が立ち並ぶ住宅街。 ドシンと佇むその外観は 通る人が思わず二度見するほど。 なんだ、ここは？ ギャラリーか はたまた建築事務所とかかしら。

ツンと尖った間取りからして 只者じゃない。 家具の置きやすさとか 使いやすさとか そういう固いことは ちょっと置いておいて。

幻想的な共用階段。 1段1段上るたびに 光の加減が変わって美しい。

黒光りするドアの向こう、 どんな空間が広がるんでしょうね。

内側から見ても 溢れ出す重厚感。

さぁいよいよ振り返ってみますよ。

無機質なコンクリに映える 三角の窓。 室内はてっきり暗いかと思いきや 光をしっかり招いてくれる。 あちらこちらから キラキラと。 なんだか神々しささえ感じてしまう。

カクカクとしているから 家具を置くのは難しいけど うれしい南向き。 せっかくなので 変わった窓を堪能しよう。

床はツヤがある ダークブラウンのフローリング。 陰影の差が絶妙です。

気になるのが そう、この天井。

あぁ、いまにも吸い込まれてしまいそう。 いっそ部屋にはなーんにも置かないで ただ天井を眺めていたい。 まわりの音がすーっと消えて 心が整っていく感じ。

ポツンポツンとあるのは スポットライト。 暗い部屋に照らしたら どんな雰囲気になるんだろう。

ベランダに出れば フェンスの影に惹き込まれてしまう。 影までアートとして 一役買っているんだ。

フェンスの形だって ユニークだ。 丸に四角に三角に… 外から見たって 中から見たって おもしろいでしょ？

ちらりと見えるのは お隣さん。 目が合ったなら 三角越しにご挨拶を。

ドアはすべて 白でまとめて。 すっきりと、存在感をなくしましょ。

収納は奥行きたっぷりと。 右手はベルトや小物 上はTシャツ 下はパンツ 全部吊るしても余裕がありそう。

ワンルームだけれど キッチンはちょっぴりおこもり空間。 あのリビングに生活感は 似合いませんから。

後ろのカウンターには コーヒーメーカーを置こうかな。 エスプレッソに カフェラテ 最高の一杯を 毎朝入れるんだ。

サニタリースペースは ぎゅぎゅっとまとめてコンパクトに。 掃除は簡単に終わらせて リビングでゆったり過ごしましょう。

まるさんかくしかくの形で彩られた 外から見ても 中から見ても 個性的なお部屋。

光と共にいろんな形の影が揺れて 幻想的な世界に吸い込まれる。

心を空っぽにして ただこの部屋だけが持つ 世界観に 浸ってみるのは いかがでしょうか。

文・よしだゆき 街散策とタイルをこよなく愛するフリーライター。元住宅情報誌編集者。築35年の中古マンションをフルリノベして暮らす2児の母。