
文豪が愛した小さな部屋
この物件は現在は募集終了している可能性が高いです。過去物件のアーカイブとしてお楽しみ下さい。
あぁでもない こうでもないともがいた 産みの苦しみ 時間を忘れるほど 夢中で書いた 産みの喜び
色んな想いを
この部屋に染み込ませて
彼は「文豪」なんてよばれるように
なっていったんだ。
「取材」と名して
ふらりと旅に出ることが
多い彼だから
古い革のスーツケースは
いつも出しっぱなしだ。
ざっくりとした
コンクリートの質感と
こってりと温かみのある
木材の色合いの
コントラストが気に入ったらしい。
彼は一日のほとんどを
この畳の小上がりで
過ごしている。
大きな机を買えばいいのに と言ったけれど この小さなスペースが 落ち着くんだって。
そして、眠くなると
布団ごそごそ敷いて
小上がりでゴロンと横になる。
頭をガリガリしながら
書いてるかと思いきや
突然丸まって寝ていたりするから
気分屋の猫みたいだ
なんて思ったりする。
この引き出しと万年筆を 持ちだせば いつでも引っ越せるぞ なんて言ってたな。
本の世界で
生きる彼だが
料理にはこだわりがあるようで
行き詰まるとおもむろに
キッチンに立ち始めるんだ。
甚平の袖をまくって
赤茶色のキッチンに向かう姿を見て
次の主人公は
蕎麦職人かななんて思ったんだ。
時には本を持ち込み 時にはペンとメモを持ち込み 「浮かんだ!」 なんて慌てて 飛び出てきたりする。
と、まぁ こんな文豪が 本当にいるかどうかは さておき。
土間が一続きになったような リビングに 窓辺にある畳の小上がり。 和の雰囲気と モダンな雰囲気が 心地よい空間。
下町にある 小さなこの部屋で なにか物語が生まれるような 気がするんだ。
文・よしだゆき 街散策とタイルをこよなく愛するフリーライター。元住宅情報誌編集者。築35年の中古マンションをフルリノベして暮らす2児の母。

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