大げさかもしれないけれど どんな家に住むかは どんな人生を送りたいか を表していると思う。

場所は下北沢。 古着屋やライブハウスに劇場 こだわりと情熱が溢れた 若者が「自分らしさ」を求めて集まる街。

そんな街の静かな住宅街に ひっそりと立つ建物。 不思議な形に湾曲している側面 一体どんな室内なのかしら。

ここは本当に下北沢？ というような 静かで美しい竹林のアプローチを 歩いて行きましょう。 ザッザッて響く足音に 風が吹くたびに揺れる 竹の葉のかすかな音。 少し立ち止まって、目をつぶって。

お部屋は3階建てのメゾネットタイプ。 2階がLDKなので 光もたっぷり感じられそう。

玄関を入ると広がるのは ラフな雰囲気の一面の土間です。 さぁ、この空間をどう使う？

事務所の 打ち合わせスペースにしてもいいし 演劇の練習スペースにしてもいい 大きなキャンパスを並べて アトリエにするのもいいな。 ここはあなたのギャラリー。 真っ白な部屋で 思い思いに自分らしさを表現するんだ。

外から見ると丸見えなんだけど あえてカーテンをオープンにして 外とつながる空間を楽しみたい。

抜け感がある階段を登って 2階に行きましょう。 17.4帖の広々とした空間に シンプルなL字型キッチン。 勾配のある窓からは 溢れんばかりの光が たっぷり入ります。

こんなに明るいキッチンで料理を作ったら さぞかし気持ちいいのでしょうね。 シックな黒のカラーが 空間を引き締めてくれます。 ちょっぴりコンパクトだから コンロの横に キッチンワゴンを置いてもよさそうですよ。

振り返ったら 大きな窓から見えるのは まるで絵画のような竹林の景色。 風が吹くたびに 床を照らす木漏れ日が ゆらゆらと揺れて心地いい。

やわらかなソファを置いて ゆっくりと身体を沈めよう。 グラスに入った氷が カランと音を立てて 部屋の静けさを引き立てる。

たっぷりの壁面収納には お気に入りの本を並べよう。 全部立てて入れなくてもいいの。 入らない本は横にして ばさばさっと積み重ねても 絵になっちゃうんだから。

続いて3階へ行ってみましょう。 圧巻の3m超えの天井に 思わずハッと息を呑んでしまいます。 天井まで伸びる窓の向こうは どこまでも伸びる竹林。 風が強い日には わさわさと竹がしなって揺れて 優しく風が吹く日には さらさらと葉の音が鳴る。 日によって異なる音色が楽しいから カーテンなんてしたらもったいない。

ベッドは壁側に置こうかな。 朝は宝石のような木漏れ日で起きて 夜は竹の音色が子守唄。

こちら側は大きなくもりガラスから 優しい光が入ります。 こうして見ると 天井の高いこと高いこと！

天井の高さを生かして ロフトもあります。 収納は少なめのお部屋だから うまく使っていきましょう。

サニタリースペースも3階にあります。 まるで雑誌に出てくる 一枚の写真のような 洗面スペース。

大きくシンプルな台に ミニマムな洗面ボウル。 朝起きたら 自然光の中で顔を洗って 思い切り伸びをする。 歯ブラシをくわえているうちに 頭がスッキリ冴えてきて 今日のやる気がみなぎってくる。

バスルームだって素敵です。 さりげない猫脚のバスタブや 上品なカラーのモザイクタイルも どこか海外のホテルのよう。 一日の終わりには たっぷりのお湯に浸かって リセットする時間を作りたいな。

下北沢という活力溢れる立地に ひっそりと佇む 竹林の中のモダンなマンション。

まっすぐどこまでも伸びる 青々とした竹のように しなやかに気高い人で ありたいと思うんだ。

文・よしだゆき 街散策とタイルをこよなく愛するフリーライター。元住宅情報誌編集者。築35年の中古マンションをフルリノベして暮らす2児の母。