新宿の職安通りにそびえ立ち
特異な存在感を放つビル。
建築好きな人ならピンと来る人も
いるかもしれません、その名も
「GUNKAN東新宿ビル」。
通称「軍艦マンション」「軍艦ビル」。

日本軍の船舶兵から
建築家になったという
経歴を持つ渡邊洋治氏による設計。
狂気の建築家、
異端の建築家とも言われた彼の
代表作でもあります。
正面から見てもなかなか個性的ですが
側面や後ろ側から見ると
「軍艦」と言われるのが
納得の荘厳な姿なのです。
10年程前、今の色に塗り替えられる前は
年季の入った
コンクリートの色により
軍艦ぽさが際立つ、
異色の建造物でした。

1970年に建てられ、老朽化により
一時は取り壊しの話も出たものの、
この建物を愛する人が多くいたため

内部の大胆なリノベーションや
外壁の塗り替えなどを経て
現在はSOHO、オフィス、シェアハウス、
として活用されています。

建物内部もこのように
船の中を彷彿とさせる形。
廊下部分に当たる
鉄筋コンクリートの本体に
6畳程のスチール製居室ユニットを
150個取り付けたというつくり。

Yの字に分かれる廊下て、
珍しいですよね。
このうちの3部屋が
現在入居者募集中です。

居室はすっきり白くシンプル、
コンパクトなつくり。
小さな窓が並ぶ様子も
船の客室のよう。

ワイワイ楽しくミーティング、より
ひそひそと機密情報を
やり取りするような場面が
目に浮かんでしまう雰囲気…。

広さは15㎡程度と、
おこもり感ある
小さな事務所には
ちょうどいいサイズではないでしょうか。

外から見えてたデコボコ部分の一部は
コンパクトなベランダ、

かつ、室外機を
置くためのスペースだそう。

廊下にある共用トイレは
ごくシンプルながら、
小窓のおかげで明るくて
清潔感もあり安心です。

こんな休憩スペースもあって
そのもじゃもじゃツタは
どこから来てるのかしら…
アジトのような何とも良い雰囲気。
都心のささやかなオアシス。

そしてやはり、特筆すべきは
この屋上です。
今にもウィーン、ガシャン！と
音を立てて動き出しそうな
風情も漂わせつつ
このビルを軍艦たらしめている
シンボリックな給水塔。
いや〜、かっこいい…！

よく見ると壁の穴は大小様々、
壁に立つフック付きの鉄パイプも
軍艦ぽさを醸し出しています。
この穴から眺める東京砂漠…
ならぬ東京のビル群の大海原…は
どんなものなのでしょう。

この場所柄、このお家賃で
類いまれな個性溢れる
ビルの一室を使えるというのは
なかなかに価値ある体験ではないかと。
クロスやタイルカーペットは
改装可能だそうです。
管理費には共用のミーティングルームや
アトリエ、シャワー、ネット利用料等が
含まれているのも嬉しいポイントです。
新たなる船出を
多くの人に愛され生き延びてきた
この軍艦から、どうでしょうか。