たまーに見かける、
ものすごくツタが絡まった家。
荘厳ともいえる風情をたたえた家屋、
既に飲み込まれてしまってる廃屋。
ツタの生命力の凄さに感嘆しつつ
見入ってしまうんですけども、
自分がそこに住むとしたら、と考えると、
いや…どっちかいうとナシかな…
と思ってたんですけども。

この物件に出会って、
ちょっと変わりました。
いや、アリかもしれないなと。
外観だけじゃわからない魅力を持つ家を、
ご案内しますね。

まずこの玄関がかっこいい。
白い壁に黒い扉、緑のツタ、
ヒョコッと顔出すアンティークなライトが
非常にグッとくる味わいをプラス。
秘密の入り口のような
雰囲気を漂わせています。

内側から見てもなかなか素敵。
ドア上のガラスから透ける緑が鮮やかで
少し年季が入った家に
清々しさを与えてくれてます。

台所は昔ながらのタイプ。
陽射しの差し込み具合が
ノスタルジック。
私のおばあちゃんちに
そっくりの台所風景で
懐かしさが溢れてしまいます…。

１階奥からの眺めはこんな。
木枠に磨りガラスの建具がずらり、
素晴らしいな〜。
戸を開けるカラカラカラ、
キュルキュルキュル、
という音が聞こえてきそうです。

畳を剥がしてフローリングにしたのか、
と思ったら、これは下地状態とのことで、
好きな床材を用意する必要があります。
室内の雰囲気も元々良いため
非常にポテンシャルを秘めている気がします。
ちなみに、改装に関しては非常に寛容で
オーナーさんに相談し、承諾得られれば
原状回復の義務もないそうですよ。

以前は、住居兼アトリエとして
使われていたとのこと。

２階にもこんな水場があるため、
暮らすにも、兼アトリエや工房とするにも
使いやすそうな間取りです。

古いけれど、こういう昭和感は
やっぱり落ち着くなぁ…。
そして、「ツタ、ありだな」と思わせてくれた
2階の部屋へご案内しますね。

美しい…！
思わずその言葉が出た、この3畳の空間。
磨りガラスの向こうのツタがあってこその
この風景ではないかと。
コンパクトな部屋に
スベッとしたフローリングも、
壁の幅いっぱいに窓なのも、
とてつもなく、良い。

6畳の部屋も2面が大きな窓で
壁と天井が柔らかい白のおかげで
明るくて、非常に清々しい。
上品さも感じます。

磨りガラス越しにチラチラ揺れる緑が
なんとなく、印象派の絵画のようだな、
と思ってしまいました。
ここにいるだけで癒されそうな、
感性を刺激されそうな、そんな空間。
自然光を生かした撮影スタジオなんかも
良さそうだなぁ…。

収納もたっぷりで、
美術道具や工具類もどんどん仕舞えそうです。

古い家だと何かと気になる水回りは
こんなに綺麗にリフォームされてて
お風呂もゆったりめ。
これは嬉しい。

トイレもすっきり洋式で。
だけどほら、窓辺に残る
松葉のようなつくりの柄が
すごく可愛い…。

立地はなんと、渋谷区の神宮前。
だけど、少し入ると
こんな下町感溢れる所があるんですね。
路地にひっそり立つ、
ツタに絡まる秘密のアトリエ。素敵。

淡い乳白色のガラスから見える緑、
チラチラ落ちる木漏れ日の美しさ…
晴れた日には、ずっとここで
まどろんでいたくなりそうです。
あ、希望する場合はツタの剪定も
してくださるそうなのですが、
この緑がなくなるのは、味気ないな、
なんて思ってしまいましたよ。