家を表す言葉は色々あるけれど
「儚い」という表現が
しっくりくる家は初めてかもしれません。

舟岡山の東側、千本通から
少し入ったところにある京町家。

細長い敷地に
広々29帖のリビングと2つの個室。
お庭を囲むような水回りも、気になります。

玄関ドアを入って
思わず息を飲みました。
この、ギャップ！

もともとあった梁や漆喰の壁は残しつつ
ラフに塗られたグレーの壁と白い天井、
それに上品で落ち着いたインテリアが並ぶ
この雰囲気は
まさに、シャビーシック。

どこか儚く
夢を見ているかのような透明感のある空間。
まるで、フランス映画の舞台に
迷い込んだよう。

リビングの形に合わせて
スラっと長いダイニングテーブルを置こう。
アンティークショップで
一点物を選んでもいいし
自分でサラッとペイントするのもいいな。
華奢なチェアを並べて
空間の余白を楽しみたい。

奥で存在感を放っている
天井まである本棚も造り付けです。
何度も読んで日に焼けた文庫本や
骨董市で一目惚れしたガラス瓶を並べたら
もう、アートの仲間入り。

こってり塗らず、さらっと塗ることで
こんなにも素敵になるなんて。
ラフに塗っているようで
実は全て職人さんの計算なのかな。

ザラッとした質感の壁にも
ときめきを感じて思わず手が伸びる。

キッチンの傍らには
お庭に繋がる大きな格子窓。
光をたっぷり浴びながら
朝食を作る。
なんて贅沢なんだろう。

真っ白のタイルが美しいキッチンは
海外のアパルトマンのよう。
憧れの、ビルドインオーブン！
お鍋やフライパンはポールに
包丁やハサミはマグネットに…
まるで小さなビストロのように
ディスプレイしながら収納しよう。

手元を照らしてくれるスポットライトや
ステンレスのライティングレールという
ディテールまでセンスが良い。

海外のリゾートホテルのような
サニタリースペース。
お庭に面している高窓や
浴室の大きな窓は東側にあるから
毎朝気持ち良い陽射しの中で
準備ができます。
歯ブラシ咥えて、窓を見上げながら
う～んっと思い切り伸びをしたら
気分良く一日をスタートできそう。

ザラッとしたグレーのタイルの床に
マットに塗装された壁
大きなモールディングミラーに
天井から降り注ぐホテルライクなシャワー…
なんて絵になる空間なんでしょう。

そこに、古材を使ったタオル掛け。
随所に見られる、
すばらしい感性に惚れ惚れします。

1階奥には小さな洋室があります。
ベッドルームにするのも
書斎にするのも
子ども部屋にするのも、あなたの自由。
この部屋の天井は
当時のままなんですね。
ラフに塗装されたグレーの壁も相まって
シックな印象です。
壁一面に広がる格子窓、好きだなぁ。
優雅なレースのカーテンが似合いそう。
出窓に腰掛けて
日光浴しながら本を読みたいな。

こちらの階段スペースも、
まるで1枚の絵画のよう。

ドライフラワーを吊り下げたり
アートフレームをランダムに飾っても
素敵じゃないかな。
階段を登る足も、思わず弾んじゃう。

二階には9帖の洋室が一つ。
木の質感が残る天井に
画家がザザッと
筆を走らせたようなグレーの壁。
ぽつんと付けられた裸電球も
トイレに繋がる
味わい深い白いドアも
ため息が出るほど美しい。

ラグジュアリーな
ヘッドボード付きベッドの横には
猫脚のチェストを置きたい。
紐を引っ張るとカチッと音がなる
レトロなランプと
アロマキャンドルを並べたら、
夢見心地のベッドルームの出来上がり。

ベッドの向かいにあるのは
大きなクローゼット。
扉はすりガラスを使って
シャビーシックな雰囲気を壊すことなく
ほどよく目隠ししてくれます。

この室内窓も、好きだなぁ。
陽の傾きによって
格子窓が床に影を落として
どこか儚げな雰囲気に。

二階の半分は
吹き抜けになっているから
窓をカパッと開ければ
一階のリビングを見渡せちゃう。
「今日の朝食はパンケーキかな」
なんて遊びもできちゃうかも。

京町家の良さは残しつつ
塗装はラフに、ディテールには繊細に。
余白を味わいながら
夢見心地な時間を堪能したいなぁ。